今がまたとない絶好のチャンス!先手必勝でシェアを拡大していく=コーナン疋田社長

聞き手:高浦佑介 (ダイヤモンド・ホームセンター編集長)
構成:森本 守人 (サテライトスコープ代表)
Pocket

ドミナントのすき間を埋める

──コーナンPROの売場づくりの基本について教えてください。

疋田 もともと売場面積700〜800坪を標準フォーマットとしてきたが、より小商圏でも出店できるように500坪、300坪タイプも近年は増やしている。取扱商品数は約5万で、工具、金物、作業衣料などのほか、木材や鉄骨といった資材も販売している。

──プライベートブランド(PB)でプロ向けの「PROACT(プロアクト)」の品揃えを充実させているのも御社の特徴の1つです。

疋田 建築現場で毎日使用する道具なので、品質には神経を使って開発している。とはいえPBだけでプロショップの品揃えは成立するとは考えていない。頻度品では価格訴求型のPB、一方で品質が求められる分野はナショナルブランドで商品を構成するのが基本的な考えだ。

 中期経営計画ではプロ向けPB強化の方針を掲げている。とくにこれまでワークウエアが手薄だったため、開発を強化する。作業衣料専門店の品揃えも参考にしながら機能性やデザイン性も配慮したワークウエアを増やしていく。

──今後の出店戦略について教えてください。

疋田 PRO業態は大前提として商圏内に建築職人などの事業者登録数が多いエリアでないと成り立たない。その中でもコーナンPROが積極的に出店していくのは首都圏と関西。首都圏ではとくに神奈川県、関西では大阪府を中心に出店を重ねる。これまで築いてきたドミナントの間を埋めるかたちで出店していく。

──首都圏、関西圏といったドミナントエリア以外に、新たなエリアに出ていくことはありますか。

疋田 昨年4月には「コーナンPRO豊見城豊崎店」(沖縄県豊見城市)を出店して、初めて沖縄県に進出したが、順調に推移している。沖縄県内にはあと4〜5店舗出店したい。

 また23年6月にグループ入りしたホームインプルーブメントひろせ(大分県/田中美博社長)は、長崎県長崎市に「OK PRO住吉店」というPRO業態を展開しているがこちらも好調だ。

 いずれのエリアでも、浸透しているブランドを使い分けながらシェアを獲得していきたい。

今こそ好機 先手必勝で動く

──19年6月には会員制卸売業の建デポ(東京都/竹内栄吾社長)を買収しました。建デポはコーナングループに入ってから業績が急回復しました。

疋田 振り返れば赤字企業の建デポを約240億円で買収したときには、「高い買物ではないか」と揶揄(やゆ)する声も聞こえてきた。しかし、コーナンPROで培ってきたノウハウと建デポが持つ技術力・接客力の高さを生かすことで、翌年には黒字化することに成功した。

 首都圏を中心に全国で60店舗以上の店舗網を一気に広げることができたことも大きい。首都圏でゼロから新規出店することを考えると、スピードアップにつながったと考えている。

 買収した当時はうまくいくかヒヤヒヤしたが、今となっては良いM&A(合併・買収)になったとほっとしている。

──今後の目標を教えてください。

疋田 PRO事業の売上高だけで、近いうちに1500億円、中長期では2000億円を数値目標としてめざしていく。

 かつて職人さんが利用していた金物店は年々、急激に減少し続けている。それがわれわれにとって大きなチャンスになっている。

 現在のプロ市場はかつてのHC全盛期を彷彿(ほうふつ)とさせる、またとない好機だとみている。1990年代はまだ当社に資本力がなく、同業他社が店舗数を拡大していくのを、指をくわえて見ることしかできなかった。そこで水をあけられてしまった。

 プロ市場ではわれわれがリーディングカンパニー。この時期を逃すことなく、先手必勝の気持ちでシェアを拡大していきたい。

PR

プロショップ

ダイヤモンド・プロディーラー創刊号6月15日発売、1100円(税込)
創刊号は「職人を輝かせるプロショップ」をお届け!冊子版と電子版がございます。

購入ページへ

 

1 2 3

聞き手

高浦佑介 / ダイヤモンド・ホームセンター編集長

2010年東京大学文学部卒業、12年同大学院修士課程(社会心理学)修了。14年ダイヤモンド・リテイルメディア入社。『ダイヤモンド・チェーンストア』誌の編集・記者を経て、19年4月よりダイヤモンド・ホームセンター誌編集長。ホームセンター業界のトレンドに精通しており、TV・ラジオなど数々のメディアに出演するほか、ダイヤモンド・リテイルメディアYoutubeでも業界解説動画を配信している。

構成

森本 守人 / サテライトスコープ代表

 京都市出身。大手食品メーカーの営業マンとして社会人デビューを果たした後、パン職人、ミュージシャン、会社役員などを経てフリーの文筆家となる。「競争力を生む戦略、組織」をテーマに、流通、製造など、おもにビジネス分野を取材。文筆業以外では政府公認カメラマンとしてゴルバチョフ氏を撮影する。サテライトスコープ代表。「当コーナーは、京都の魅力を体験型レポートで発信します」。

関連キーワードの記事を探す

© 2024 by Diamond Retail Media

興味のあるジャンルや業態を選択いただければ
DCSオンライントップページにおすすめの記事が表示されます。

ジャンル
業態