小売業の課題解決を図りながら 持続可能な発展をめざす!
課題解決のカギは
プチシリーズとビスケット
――小売業の課題解決に向けて、どんな施策を展開していますか。
井手 昨今、価格高騰の影響から、客単価が上がる一方で買上点数減少の傾向が顕著になっています。また、Covid-19が収束するにつれ、小売業の人手不足が加速。そのため、限られた人員でいかに効率的に売上をつくるかが問われています。こうした小売業の課題解決のために、私たちが提案するのは「プチシリーズ」のコーナー展開です。
さまざまな商品が値上げする中、24種類で展開している「プチシリーズ」は発売当時から販売価格80円前後を維持しています。100円以下で購入できる菓子が減少しているだけに、その価値はますます高まり、買上点数アップに貢献できると自負しています。
他の菓子カテゴリーと比較しても、定番棚1本あたりの売上貢献度が高いデータが取れていますし、どれもほぼ同じサイズで揃えているため、小売業は棚替や商品改廃などの作業も簡素化でき、短時間で効率的に売上をつくることができます。何より「プチシリーズ」はボール箱を並べるだけで楽しい売場を演出することができるため、消費者にとっても、売場を移動することなくビスケットやスナック、米菓の中から好みの商品を選ぶことができ、ワクワク感を享受できる商品といえるのではないでしょうか。そこで「プチシリーズ」を、小売業の抱える課題解決につながる商品と位置付け、目下訴求しているところです。
――「プチシリーズ」の提案のほか、注力している商品やカテゴリーはありますか。
井手 継続して力を入れているのはビスケットです。近年、ビスケット市場は拡大傾向にあり、チョコレート、スナックに次ぐ売上規模となっています。市場を支えているのは、主にシニア層やファミリー層です。
ビスケットには、半生ケーキやサンドビスケット、ウエハース、ラスクなど、さまざまな生地があり、バラエティに富んだ商品をつくることができるのが強みです。他にも個包装の商品が多く、シェアできたり、さまざまな食シーンに対応できたり、メリットは多々あります。
ただ一方で、ビスケットの定番棚本数は売上規模に対して米菓よりも少ないという状況です。今後は、ビスケットの可能性を再認識してもらえるように、ビスケット定番売場の拡大とアイテムの拡充を図っていきます。「ブランド」「健康」「価格」「話題性」の4つの軸で、既存ブランド商品のアップデートと新商品開発を進め、小売業の売上最大化に貢献するとともにお客様に喜びと価値を提供していきたいと考えています。
創立100周年を節目に
小売業との協業を加速
――今年、創立100周年を迎えます。小売業へメッセージをお願いします。
井手 創立100周年を迎えるにあたり、お客様に対して感謝を伝えるとともに、あらためてブルボンという会社を知ってもらうための取り組みを進めています。小売業に対しても、私たちの会社の強みをしっかり伝え、それが課題解決につながることをこれまで以上に実践していきたいと考えています。
2021年、全国47都道府県すべてに営業拠点を設け、よりきめ細やかな対応ができるように整備しました。おかげで、お客様や小売業から直接声を聞くことができ、課題の共有や迅速な課題解決に加え、魅力的な売場づくりなどを行えていることに、高い評価をいただいています。直近では、「アルフォート」に描かれた帆船を売場で再現するという面白い企画もあります(笑)。お客様に楽しんでもらえる売場づくりは、私たちにしかできない施策ですし、話題を喚起することで店舗への来店客のアップに貢献しようと、全国で展開したいと考えています。
また、47都道府県に拠点があることを生かし、地産地消をテーマにした商品づくりなどにもチャレンジしてみたいですね。そのためにも、新設したマーケティング部をしっかりと機能させていく、それが私に課せられたミッションだととらえています。
菓子産業は平和な社会のもとに成り立つものであり、まさに平和のバロメーター。創立100周年を新たなスタートととらえ、これからも事業を通じて社会への貢献と、小売業やお客様の課題解決に向けた取り組みを推進し、持続可能な発展をめざしていきたいと考えています。
メーカーキーマンに聞く!小売業との協業戦略 の新着記事
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2024/01/23
小売業の課題解決を図りながら 持続可能な発展をめざす!
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