小売業の課題解決を図りながら 持続可能な発展をめざす!
「おいしさ、思いやり、いつもいっしょに。」を合言葉に、心と体の健康づくりに寄与する健康増進総合支援企業をめざすブルボン。創立100周年を目前に控えた2023年3月、営業部門の組織改革を行った。そのねらいは何なのか。今後の成長戦略を含めて、取締役執行役員営業戦略統括部長兼マーケティング部長の井手規秀氏に聞いた。
マーケティング部を新設
二つのねらいとは
――2023年春、営業の最前線ともいえる開発開拓本部において組織変更が行われました。どのように変わったのでしょうか。
井手 営業部門は開発開拓本部の中に属しており、以前は東日本、西日本、首都圏といったエリアを管理する部門のほかに、飲食品、冷菓などのカテゴリー、自動販売機、業務用、通信販売などチャネルを管理する部門で構成していた時期がありました。それぞれの営業部が互いに競争意識をもって取り組んでいたものの、正直言って、営業活動を進める上ではもっと効率的にできそうな部分も感じていました。
また、セールスにおいても、飲食品、冷菓に携わっていると、菓子のことがわからない。逆に、菓子に携わっていると、飲食品、冷菓は後回しになってしまうなどの傾向があり、これでは、総合食品メーカーと謳いながら、その力を十分に発揮できないという課題を感じていました。セールス一人ひとりがカテゴリーを問わず、マルチに活躍できる環境をつくっていくためにも、組織を分散するのではなく、集約するほうがいいと考え、数年かけエリアの組織を一本化し、カテゴリーごとの営業部門を新たにマーケティング営業部として組織化しました。あわせて、営業戦略統括部を新設しました。
――新たに設けられたマーケティング部と営業戦略統括部の役割を教えてください。
井手 いわゆるマーケティング部の役割は、自社の商品やサービスが売れるような仕組みを構築することです。その一環として、消費者のインサイトや市場動向を踏まえて、売れる商品やサービスをつくるために、開発部門や製造部門を動かしていくものと認識しています。
しかしながら、当社にはこれまでマーケティング部という名称が存在しませんでした。というのも、会社全体にマーケティングの手法が落とし込まれていたためです。だからこそ、「フェットチーネグミ」のようなユニークで斬新な商品が開発され、大ヒットしました。実はこの商品は、当社の製品開発部門が生み出したものであり、こうしたものづくりの力こそ当社の強みといえるでしょう。
とはいえ、時代が大きく変わりゆく今、それだけで本当にいいのかと問いかける中で、たどり着いたのが、当社ならではのマーケティング部を新設することでした。当社の開発力や製造技術を生かした新発想の“製品”を、どのように“商品”へと高めていくのか消費者の行動を分析した上で、どんなシナリオをつくり、購買につなげていくか。このシナリオこそが大事であり、ストーリーマーケティングと名付け、実践する部署を設けました。
一般に、マーケティング部は営業部門からは独立した組織ですが、当社では営業戦略統括部の下に紐付く形をとりました。営業部門も同様です。こうすることで、会社としての基本姿勢を示す営業戦略統括部のもと、双方が組織の壁を感じることなく、連携して売上拡大に取り組めるようにしました。
――こうした組織改革のねらいは何でしょうか。
井手 当社の企業理念は、「利害相反する人を含めて、集団の生存性を高める」です。これは、自分たちだけが存続できればよいのではなく、当社を取り巻くステークホルダーも含めて発展、成長することを意味します。こうした考え方は、当社の成り立ちに大きく関係しています。
今から100年ほど前、関東大震災により地方への菓子供給がストップした窮状を見て、地方での量産工場による菓子づくりを行うべく、1924年に新潟県柏崎で「北日本製菓」として当社は誕生しました。災害をきっかけに、社会に役立つ事業を志し、栄養価が高く、保存が容易なビスケットの製造から始めたのです。
今回の組織改革も自らの成長のためだけでなく、当社の強みを生かして小売業の課題解決に貢献したいとの思いが根底にあります。
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2024/01/23
小売業の課題解決を図りながら 持続可能な発展をめざす!
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