フードデリバリーの常識を覆す? ウォルトが一部デリバリー商品を店頭価格と同一に

取材・文:阿波 岳 (ダイヤモンド・チェーンストア 編集記者)

すでに地方都市で効果を実証済み

 デリバリー商品の価格を店頭と同一にする施策は、2411月に広島県呉市で試験的にスタートし、254月には北海道札幌市で本格導入が始まった。現在では、今回導入した東京都内を含め、北海道、東北、広島など全国4地域6都道県で広がっている。

 先行導入したエリアでは、大きな成果が出始めている。たとえば「北海道ラーメン奥原流 久楽」(札幌市)では、価格見直し後の1カ月で注文数が4倍以上、デリバリー売上も3倍以上に伸長。「餃子屋 龍横川駅前店」(広島市)でも、導入直後の1週間で注文件数が4.3倍、売上も4倍に増加するなど、明確な効果が確認されているという。

 そのほかの参加店舗からも、「期待以上の効果がすぐに出た」「来店が難しいお客さまにも商品を届けられるようになった」「デリバリーがきっかけで、店舗の認知度が上がり店内飲食の売上にもつながった」といった声が寄せられている。

業界全体に広がる店頭価格とデリバリー価格の同一化

 他方、競合各社も同様の動きを見せている。たとえばUber Eats Japan(東京都/中川晋太郎社長)25年4月から、出前館(東京都/矢野哲社長)は同年9月から一部店舗を対象に店頭価格でのデリバリー商品の提供を開始している。

Uber
「Uber Eats」は「店頭価格」のお持ち帰りに対応するエリアおよび加盟店を拡大している

 こうした競合の動きについて、Wolt Japanゼネラルマネージャーのナタリア・ヒザニシヴィリ氏は、「われわれはデリバリー市場全体の成長をとても楽しみにしている。最終的には、よりユーザーが使いやすいサービスを提供することをめざしている。このねらいは競合他社とも共通していると思うので、同様の取り組みを行うことに対しては、ポジティブに受け止めている」と話す。

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取材・文

阿波 岳 / ダイヤモンド・チェーンストア 編集記者

大学卒業後、社会の荒波にもまれる日々を経験。そこで書籍や会報誌の編集に携わるうちに、メディア事業への興味が芽生え、今に至る。
趣味は喫茶店巡りと散歩。喫茶店での一杯のコーヒーや、街角の散策を生きがいとしている。
これまで全都道府県を制覇するという小さな目標を達成した。何かを極めたり、制覇したりすることには、なぜか人一倍の熱意を注いでいる。
最近の悩みは、ここ数年で増えた体重との戦い。健康の大切さを意識しつつも、喫茶店のコーヒーに合わせたスイーツや、ランチの大盛りがやめられない。今日もまた元気に「大盛で!」と注文しつつ、明日こそ控えめにしようと心に誓っている。

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