MonotaRO、16期連続の増収増益 好業績を支える大企業のシェア獲得

小笠原 玲 (ダイヤモンド・チェーンストア 編集記者)

成長が著しい大企業向け事業

図表●大企業向け購買管理システム事業の売上高の推移 大企業向け購買管理システム事業は、10年頃から鈴木雅哉会長が新たな挑戦として始めた事業である。24年の売上高は対前期比27.9%増の861億円と成長が著しい。現在は全体の売上の約3割強を占める主要な事業だ。

 そもそも、モノタロウは個人および中小事業者向けサービスからスタートした。個人、中小事業者にとって間接資材は低頻度・小ロット・安価で購買に手間がかかるため、こうした課題を解決するためのソリューションとしてモノタロウが活用されてきた。

 一方、大企業の場合は、購買の手間に加えて、全国にある拠点ごとに購入方法がばらばらになるという課題がある。購買プロセスがより複雑になることで、価格の妥当性が不透明になっているケースが少なくない。

 そこで、モノタロウは大企業の抱える課題に対して、個人・中小事業者向けとは異なる2種類のソリューションを提供している。

 1つ目は「パンチアウト連携」である。企業がすでに導入している購買管理システムに「モノタロウ」のカタログサイトを連携させるサービスだ。個人および中小事業者向けサービスとの違いは、購買管理システムとの連携にある。これにより、企業はモノタロウの検索エンジンを利用して商品をすぐに購入することができる上、各拠点の購買が一元化され管理が容易になる。したがって、発注業務の工数を削減することが可能だ。

 もう1つは購買管理システム「ONE SOURCE Lite」で、購買管理システムを持たない企業向けに、モノタロウのカタログと連携したシステムを提供する。いずれも初期費用と運用費は無料だ。25年度は同事業の売上高1078億円をめざして営業体制を強化する。25年12月末までに営業人員を25%増加させる予定だ。西日本、中部、東日本のエリアのうち、とくに東日本を中心に増員する。

 「お客は価格以上に利便性を重視する」という考えのもと、同社は企業の資材調達における課題解決に取り組んできた。大企業向けサービスの普及を進め、さらなる成長をめざしていく。

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記事執筆者

小笠原 玲 / ダイヤモンド・チェーンストア 編集記者

早稲田大学文学部(ドイツ哲学専攻)を卒業後、教育系の編集プロダクションで国語の入試問題の制作を担当。2024年、ダイヤモンド・リテイルメディアに入社。

休日の大半を台所で過ごすほど、無類の料理好き。得意な料理は、出汁巻き卵と切り干し大根の煮物。料理研究家の土井善晴氏を尊敬している。

趣味は、ミニシアターで映画をみること。音の大きな映画が苦手で、日常を切り取ったような変哲のない映画やドキュメンタリー映画を好む。見た作品のリーフレットを持ち帰り、コレクションしている。

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