人口減の北海道を深く広く開拓!コープさっぽろ異次元の成長戦略とは

文:大宮 弓絵 (ダイヤモンド・チェーンストア 副編集長)
Pocket

日々、改善・標準化を実践する強い組織に変貌

 コープさっぽろは、データを活用したマーケティング活動にも業界に先がけて取り組んできた。1998年と早期から取引先にPOSデータを公開することで、取引先との関係を強めるとともに、品揃えや売場づくりの改善を進め、競争力を高めてきた。こうして蓄積してきたノウハウが、アプリを活用したワン・トゥ・ワンマーケティング施策や、ポイントを軸としたロイヤルティプログラムの実施など、現在の最新のマーケティング施策につながっている。

 もう1つ、重点を置いてきたのが組織・人材開発だ。「現場の一人ひとりが自ら考えて課題を解決できる主体的なパワーが組織には必要」として、大見英明氏が理事長に就任した07年より「仕事改革発表会」を実施し、業務改善とその水平展開を進めてきた。14年からは「トヨタ式カイゼン」に学んだ独自の教育手法も本格的に導入して活動を高度化させている。

 加えて労働集約型産業である小売業で重要とされる業務標準化も推進。良品計画(東京都)に学び、16年には独自の「業務基準書」を導入。全部署の業務内容をマニュアル化し、研修時間や引き継ぎ作業、業務のバラつきによるムダの削減などにつなげている。

 特筆するべきは、この業務改善活動と、業務基準書の作成・更新は、関連会社を含めた全職員が実施対象者である点だ。つまり日々、業務改善、標準化が組織全体で行われているといえ、こうした強い組織力がコープさっぽろの再建を実現し、近年の躍進を支えている。

1 2 3 4

大宮 弓絵 / ダイヤモンド・チェーンストア 副編集長

1986年生まれ。福井県芦原温泉出身。同志社女子大学卒業後、東海地方のケーブルテレビ局でキャスターとして勤務。その後、『ダイヤモンド・チェーンストア』の編集記者に転身。

最近の担当特集は、コンビニ、生協・食品EC、物流など。ウェビナーや業界イベントの司会、コーディネーターも務める。2022年より食品小売業界の優れたサステナビリティ施策を表彰する「サステナブル・リテイリング表彰」を立ち上げるなど、情報を通じて業界の活性化に貢献することをめざす。グロービス経営大学院 経営学修士

関連記事ランキング

関連キーワードの記事を探す

© 2024 by Diamond Retail Media

興味のあるジャンルや業態を選択いただければ
DCSオンライントップページにおすすめの記事が表示されます。

ジャンル
業態