決してゼロにはならない“ミス”と正確であることが当たり前の小売業

2021/12/13 05:55
    千田 直哉 (株式会社ダイヤモンド・リテイルメディア編集局 局長)
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    ゼロにはできないミスにどう対応するか

     しかし、ミスとは必ず起こるもの。ミスやエラー、欠陥品などの発生確率を最小限にするためのフレームワーク「シックス・シグマ」の世界でも、発生確率の目標が100万回中3〜4回となっている通り、ゼロにはならないことが前提だ。

     一見、分母である100万回は天文学的な数字に見える。だが、少し考えてみればそうではないことがわかる。たとえば食品スーパーの場合、1日3000人のレジ通過客数がある店舗であれば年間では100万人超(3000人×365日=109万5000人)のお客が商品を購入している。逆にいえば、「シックス・シグマ」を徹底したとしてもレジ業務においては、1店舗で年間数度以上のミスが確実に発生することになる。

     それらのミスを限りなくゼロに近づけることは各社各店舗ともに努めているところであろうが、皆無にすることはたぶんできない。いま流行りの無人決済システムも同様だ。ということは、小売業側としてはミスは起こるものであることを前提とし、起こった際の対応をしっかり決めて徹底させる必要がある。

     小売業の業務はレジ以外にもたくさん存在する。年間100万回を超える作業はもちろん、3か月程度で100万回を突破するものもあるに違いない。だからこそ、転んだ後の処理策やマニュアルをしっかり用意し、浸透させておきたい。

     一方、巷では相変わらず“モンスタークレイマー”が幅を利かせているようだが、意図してミスを犯す企業や人間はいない。お客の方もそのことを知ったうえで、もう少し寛容に受け止めてほしいと切に願う。

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    記事執筆者

    千田 直哉 / 株式会社ダイヤモンド・リテイルメディア 編集局 局長

    東京都生まれ。1992年ダイヤモンド・フリードマン社(現:ダイヤモンド・リテイルメディア)入社。『チェーンストアエイジ』誌編集記者、『ゼネラルマーチャンダイザー』誌副編集長、『ダイヤモンド ホームセンター』誌編集長を経て、2008年、『チェーンストアエイジ』誌編集長就任。2015年、『ダイヤモンド・ドラッグストア』誌編集長(兼任)就任。2016年、編集局局長就任(現任)。現在に至る。
    ※2015年4月、『チェーンストアエイジ』誌は『ダイヤモンド・チェーンストア』誌に誌名を変更。

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