ファミマ の無人決済店舗1000店にみる、コロナ禍で 2極化するコンビニの成長戦略
配送サービスで
商圏ニーズを深堀りする
セブン、ローソン
このファミリーマートの動きに対して競合のセブン–イレブンとローソンは、従来の店舗オペレーションをベースとした「セルフレジ」の強化を優先してきた印象を筆者は受けてきた。
そして、ここにきて業界の王者のセブン–イレブンが次なる成長の柱として注力しているのが、スマホで受注した商品を近隣の店舗から配送するサービス「ネットコンビニ」だ。現在はテスト導入段階だが、来年春から本格稼働し、22年度には3000店体制、25年度には全国展開を掲げている。
ローソンについても、「Uber Eats」「foodpanda」など計5社のデリバリープラットフォームと提携し、店舗からの商品配送サービスを一気に広げており、9月末現在でサービス導入店舗数は33都道府県の2204店となった。
利便性・省力化を追求した新たなモデル店舗の出店に力を注ぐファミリーマートと、既存の店舗から商品を自宅まで届けるサービスを強化するセブン–イレブンとローソン。このように次なるコンビニの成長戦略の動きは大きく2極化しつつあり、今後さらなる大きな潮流となるだろう。
【執筆者】
田矢信二(たや・しんじ)
近畿大学商経学部卒業。幼少期は実家の小さなおもちゃ屋で商売を学ぶ。その後、セブン–イレブン、ローソンを経て、コンサルタント会社でも勤務。コンビニの商品や売場全般に詳しく、お店に訪れ消費者目線で買い物して試食する毎日。本部社員として働いた現場経験を活かし、コンビニに関する講演・セミナーからテレビ・ラジオ番組などにも出演。コンビニをテーマにした記事への取材なども。アジア企業へのコンビニをテーマにした企業講演の依頼も多い。主な著書に『セブン–イレブンで働くとどうして「売れる人」になれるんですか? 』、『ローソン流アルバイトが「商売人」に育つ勉強会』(以上、トランスワールドジャパン)がある