レシートは語る第5回 大手食品小売のアプリ利用率比較 最高はベイシア、メーン顧客8割が使用
ソフトブレーン・フィールド(東京都/木名瀬博社長)は、全国に約80万人の協力モニターを擁し、日本初のレシートによる購買証明付き・購買理由データベース「マルチプルID-POS購買理由データPoint of Buy(ポイント・オブ・バイ:以下、POBデータ)」を有している。月間1100万枚のレシートを収集し、リアル消費者購買データベースとしては国内最大級の規模となる。(提携サイト含める)
このPOBデータと協力モニター(以下、POB会員)へのアンケート調査を活用すれば、消費者から見た小売りチェーンの実態を明らかにすることができる。本連載では毎回、業界で関心の高いテーマを設定して独自調査を実施し、その結果をレポートする。
現在、食品スーパーの販促の在り方が大きく変化している。新聞の購読者数は減少の一途にあり、また新型コロナウイルス(コロナ)感染拡大下で過度な集客を控える必要が生じたことを機に、チラシ販促を減らし始めた食品スーパーは多い。
そうしたなか、CRM(顧客関係管理)強化につながる施策として活用が進んでいるのがスマホアプリだ。今回はPOBデータによって、とくにアプリの利用率が向上しているチェーンを調査し、その秘訣を明らかにする。
食品スーパーでは6割超が
メーン使いの店のアプリを利用
図表1は、公式アプリをリリースする総合スーパー2社(イオン・イトーヨーカドー)、食品スーパー6社(ベイシア・マルエツ・ライフ・サミット・ベルク・ヤオコー)のメーン利用者に、そのチェーンの公式アプリを利用しているか問い、利用率が高かった順にまとめたものだ。
結果、アンケート対象者の平均年齢が50歳とやや高めでありながら、アプリ利用率は総合スーパーでおよそ7割(2社平均:71.2%)、食品スーパーで約6割(6社平均:63.4%)と高い結果となった。総合スーパーはアプリの開発・利用促進に早期から取り組んできた背景もあり、食品スーパーよりも利用率が高い。
ソフトブレーン・フィールドの調査によると、ドラッグストアチェーンのアプリ利用率は、57.5%(公式アプリをリリースするドラッグストアチェーン8社のメーン利用者計3921人:平均年齢50歳を対象に2021年7月実施)だった。
つまりドラッグストアよりも日常における利用頻度の高い総合スーパー、食品スーパーのほうが消費者のアプリ活用は進んでいると言えそうだ。また、スマートフォンの普及などによって、小売業界でも、アプリの利用者はもはや若年層だけではなくなっていると見られる。
注目したいのは食品スーパーチェーンの利用率の順位だ。「利用経験あり/継続中」では、高い順に「ベイシア(79.2%)」、「マルエツ(68.3%)」、「ライフ(63.7%)」で、なかでもベイシアは利用率が約8割に達している。
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