究極のセルフサービス?「セルフレジ率95%」をめざす三洋堂新業態店の狙い
中京圏を中心に70店舗あまりを展開する書店チェーン、三洋堂ホールディングス(愛知県/加藤和裕社長)が「セルフレジ利用率95%」をめざす新業態店を7月にオープンした。自社ウェブサイトから注文し、店頭無人受け取り、セルフレジ会計に特化した「クリック&コレクト」方式を業界で初めて導入。開店から1カ月で利用率は94%とほぼ達成している。近年、書店チェーンでセルフレジ導入は積極的にみられるが、特にスマートフォン注文とセルフ会計をメーンとする新業態の取り組みは、今後の書店オペレーションを変える可能性を秘めている。
店頭受け取りの書籍はお客自らピックアップ
三洋堂ホールディングスの新業態店「スマ本屋 神宮前駅店」は、名古屋鉄道・名古屋本線神宮前駅に新たにオープンした商業施設「μPLAT神宮前」内、神宮前駅改札のほぼ真正面に位置する。郊外で400坪程度の出店が多い三洋堂にとって初めての小型店で57坪。店頭在庫は2万冊ほどで売れ筋コミック、文庫、ビジネス書などをメーンに扱う。地元観光地などゆかりのコミックスも平台でコーナー化もしている。
同店が一般的な書店と大きく異なるのは、有人レジは1台だけで、セルフレジでの運用を主体にしたことにある。利用者はスマートフォンに最適化した同社ウェブサイトに会員登録し、そこから書籍、雑誌を選び注文を確定する。注文品は最短で2~4日で店頭に届き、メールで通知が来る。その後、店頭を訪れ受け取りコーナーにある棚に個別包装された注文品を自ら取り出し、すぐ横にあるセルフレジに進む。個別包装された袋に貼ってあるバーコードを専用リーダーにかざし、注文品と金額を確認したのちに、会計にすすむ。注文の送料や手数料は無料。現金、クレジットカード、スマホ決済アプリ、交通系電子マネーにも対応している。