ベルクの「販売力の高さ」を裏打ちする仕組みを解説【日配・グロサリー】
ベルク(埼玉県/原島一誠社長)のなかでも日配・グロサリーは、売場面積の約半分を占める重要部門だ。店の印象を大きく左右する部門とも言えるだろう。そうしたなかベルクはどのような売場づくりを実践しているのか。食品スーパー(SM)の営業・教育全般のコンサルティング事業を展開するアイダスグループの鈴木國朗代表に分析してもらうと、効率化や安さの訴求のための独自の工夫が明らかになった。
死に場所も生かす!「スイングドア企画」
SMの日配・グロサリーのカテゴリーは、豊富な品揃えを重視するアプローチと、品揃えを絞り込むアプローチに2極化する傾向にある。この観点で見ると、ベルクの日配・グロサリーの品揃えは中庸だ。商品回転率や店内作業の効率性なども考慮したうえで緻密にバランスよくコントロールされている。今回調査で訪れた「ベルク戸田氷川町店」(埼玉県戸田市:2021年7月開店)の日配・グロサリー売場でも、品揃え、棚割り、売場づくりはおおむね標準化されており、定番ゴンドラでは1アイテムごとに商品回転率重視のフェース数を基本として、間延びのない売場を展開している。
「Better Quality & Lower Price(ベタークオリティ&ロワープライス)」を掲げるベルクでは、本部の主導により、安さを強調する売場づくりを戦略的に展開しているのも大きな特徴だ。
たとえば、メーン出入口すぐのスペースの第1マグネット売場では、カゴ台車をずらりと並べて広告掲載商品を単品大量陳列し、圧倒的な安さを訴求する。陳列する商品は、食用油やトマトケチャップといった調味料、ポテトチップスなどのスナック菓子、さらにはカップ麺といったように、カテゴリーはさまざまで、これが来店客の目をさらに楽しませる演出となっている。
次に、第3マグネット売場となる主通路沿いで展開するゴンドラエンドでは、B5サイズのPOPを効果的に活用し、安さを強調する。加えて、ゴンドラエンドのサイドにはキャスター付きのバスケットも配置し、羽を広げるように突き出して販売する「ウイング陳列」を展開。スポット商品を提案して巧みについで買いを促す。
さらに注目したいのが、従業員が出入りするスイングドアの付近だ。一般に、バックヤードとつながるスイングドア付近は、来店客が素通りしやすい「死に場所」とされている。しかしベルクでは「スイングドア企画」と称して、スイングドア横の空間をマグネット売場に活用。加工食品や菓子、飲料など、さまざまなカテゴリーから選定されたイチオシ商品を売り込んでいるのだ。
このように、ベルクはお客に売場を回遊しながら特売品と出合える楽しい買物体験を提供するとともに、売場を可能な限り活用して商品の大量販売ができるようにしている。
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