ベルクVSヤオコー 高収益スーパーマーケット2社が共存できる理由
ベルク(埼玉県/原島一誠社長)が業界でもよく比較対象とされるのが、同じ埼玉県を地盤に食品スーパー(SM)を展開するヤオコー(川野澄人社長)だ。商勢圏を同じくしながら、なぜ両社はともに高成長を遂げることができるのか。それぞれの財務指標から両社の強さと、戦略の違いを明らかにする。
上場企業のなかでも高い成長性
埼玉県のSMといえば、業界の雄ともいえるヤオコーが広く知られている。しかしベルクはそのヤオコーと商勢圏を同じくしながら、SM業界でも収益性と成長性でヤオコーと上位を争う存在となっている。2019年度までの15期間の両社の営業利益年平均成長率は、ベルクが8.4%、ヤオコーが8.1%と高水準で、ほぼ拮抗している。
図表は19年度のベルクとヤオコーの財務指標を主要SM14社の平均と比較した一覧だ。20年度のSM各社の業績は新型コロナウイルス感染拡大の影響が大きいため、ここでは19年度を分析対象としている。
まず、営業利益率についてはSM14社の平均が2.1%であるのに対して、ベルクが4.4%、ヤオコーが4.5%で、それぞれ2.3ポイント(pt)、2.4pt上回っており、業界平均と比べて倍以上の収益性であることがわかる。
次に、19年度までの10期間の営業利益年平均成長率は、SM14社平均が3.0%に対して、ベルクは9.1%、ヤオコーは8.7%とそれぞれ3倍ほど高い。倍率に直すと、SM14社平均の営業利益は10期前と比較して1.34倍、対してベルクは同2.38倍、ヤオコーは同2.31倍となる。この値はSM業界内で抜きん出ているだけではなく、上場企業全体と比較しても上位の成長性といえる。
2社の違いは顧客層
営業利益率が業界平均を大きく上回るベルクとヤオコーだが、その内訳となる営業総利益率と販売管理費率の傾向は2社で異なる。
営業総利益率については、ベルクは26.5%で、SM14社平均より1.9pt低いが、ヤオコーは逆に29.9%と1.5pt高くなっている。
一方で販売管理費率は、ベルクが22.1%と同4.2ptも低いのに対し、
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