店舗のメディア化進める新会社をファミマと伊藤忠が設立へ 4月までに約3000店舗に大型デジタルサイネージを導入
新たな成長戦略の柱として注力
メディア事業について、ファミリーマート 常務執行役員新規事業開発本部本部長の高橋順氏は、「(メディア事業は)ファミリーマートの新たな成長戦略の大きな柱の一つ」と話す。全国に約1万6600店舗を展開、毎日1500万人が来店するファミリーマートの強みを最大限に活かし、デジタルとリアルを繋ぐ新しいマーケティングを実現するとしている。また、広告の受注やターゲティング広告配信の面では、20年10月に伊藤忠商事とファミリーマート、NTTドコモ、サイバーエージェントの4社が共同で設立した、小売事業者の購買データを活用した広告配信事業を行うデータ・ワン(東京都/太田英利社長)とも協力する。
新会社は23年に黒字化を目標に据える。スタート当初はまず、デジタルサイネージを実際に設置する加盟店側へ設置手数料として月額を支払い、広告収益は新会社側の収益とする。設置費用や電気代は新会社が負担し、軌道に乗れば加盟店側の収益面も見直す予定だという。メディア事業には、国内で飽和状態になりつつあるコンビニエンスストア業界で、リアル店舗の価値を高め、加盟店に新たな収益を上げてもらうという意味合いも含まれている。コロナ禍での客数減少や高い賃料などに苦心する加盟店も少なくない中、デジタルサイネージを設置するだけで既存の顧客に訴えかけ収益につなげる、強力な一手としたい考えだ。さらに、将来的にはファミリーマート店舗以外への導入計画もある。食品スーパーやドラッグストアなどの小売業態のみにとどまらず、幅広い業態での導入を検討していくという。
記者会見でファミリーマート細見研介社長は、「ファミリーマートが自社のオウンドメディアを持つということ。メディアを通じて、これまでとは全く違う新しい仕掛けを可能にしていく」と語った。9月に創立40周年を迎えるファミリーマート。次の40年の成長に向けた新たな柱の一つとして注力するメディア事業の展開に注目したい。