すべて“自前主義”で店舗事業より高い利益率を実現=ヨドバシカメラ藤沢 和則副社長兼CIO
今後の強化カテゴリーはアパレルと生鮮食品
──今後、ヨドバシ・ドット・コムで強化する予定のカテゴリーはどこでしょうか。
藤沢 まず、アパレルです。専任バイヤーも自前で揃えます。すでにアウトドア商材は販売しているので、スポーツ関係のアパレルを先に揃える予定です。
──アパレルの主要ターゲット層は?
藤沢 女性です。20年前まで、ヨドバシカメラの顧客層はほとんど男性でしたが、今は女性も多いです。しかし、オンライン利用者の女性比率は店頭よりも低いのが現状です。徐々に女性にもヨドバシ・ドット・コムの利便性を認識してもらえるようにしたいと思っています。
──アパレルECは「ZOZOTOWN」、「アマゾンファッション」など多くの競合がいます。すでにレッドオーシャンではないでしょうか。
藤沢 勝算はわかりませんが、お客さまのニーズがあることは確かです。こういう商品を置いてほしいという、具体的なブランド名も上がっています。
わかってきたのは、特定のブランドをリピートして購入しているお客さまが多いということです。リピートして購入してもらえるようなブランドを揃えるつもりです。
ですから、サイズ感も慣れているお客さまが多く、サイズがわからないというアパレルEC特有の問題もあまり深刻ではないと考えています。
──アパレル以外に強化するカテゴリーは何かありますか。
藤沢 アパレルがいち段落したら、次は生鮮食品です。ネットスーパーを展開している多くの企業がまだうまくいっていないという印象です。われわれも今はノウハウがありませんが、いろいろ勉強して、どこかのタイミングで参入したいと考えています。
そのほかは、既存カテゴリーを深掘りして、専門性を高めていきます。
EC比率50%の唯一無二の企業めざす
──バイヤーはカテゴリーごとにいるのでしょうか。それともEC事業専任者がいるのでしょうか。
藤沢 バイヤーはカテゴリーごとにいます。バイヤーに限らず、店舗事業に重点を置くカテゴリー、オンラインに重点を置くカテゴリーがありますが、オンライン専業という社員は1人もいません。物流や配送も含め、すべて店舗とオンラインは一体でとらえています。
──販売する商品はすべて自社で仕入れているのですか。
藤沢 はい、自社で仕入れたものを、自社で販売し、配送します。マーケットプレイス型は今のところやるつもりはありません。ただ、将来的には検討事項になると思います。
──ECではアマゾンジャパン(東京都/ジャスパー・チャン社長)が快進撃を続けています。どのようにお考えですか。
藤沢 アマゾンの進攻で店舗事業は大きな影響を受けました。しかし、影響を受けるということは、実店舗とECの両方を使っている利用者が多いということです。売上は影響を受けましたが、店頭に来るお客さまが減ったというわけではありません。
お客さまが店頭に来てくれるということは、選択肢に入っているということです。選択肢にも入らなくなれば、それはサービスレベルが低いという意味です。店頭とオンラインでつねに選択肢に入れてもらえるようにしていきます。
──競合対策として、どのようなことに取り組んでいますか。
藤沢 競合対策というわけではないですが、大きく3つあります。
1つめは配送の品質を上げること。無理して上げるのではなく、無駄をなくすことで実現します。
2つめは専門性。お客さまから迷わず、「ヨドバシだと安心」と思ってもらえるようにします。
3つめは在庫の充足率です。お客さまが欲しいと思ったときに買えるように、つねに9割以上をキープします。
──今後の課題は何ですか。
藤沢 1つ挙げると、アプリです。今テコ入れしている最中です。“スマホファースト”と数年前からいわれていますので、一刻も早く対処しなければなりません。
また、スマートスピーカーの時代も来るはずです。スマートスピーカーに対応したアプリケーションも自社で開発するつもりです。
──将来的にECの売上高構成比をどこまで高めたいとお考えですか。
藤沢 店舗で半分、オンラインで半分をめざします。どちらかに軸足を置いた企業はありますが、同じ比率という会社はまだありません。これを実現する初めての会社になりたいと思います。