クリック&コレクト、フィットネス、トレカ…三洋堂書店、レンタル撤退で転換する次の稼ぎ方
クリック&コレクト特化の新業態を7月に出店!
本業の書籍、雑誌販売増にむけて新たな試みを始める。試金石となるのが、同社初となる小型店だ。7月に名古屋鉄道神宮前店(愛知)の改札前に出店する。店名は店舗コンセプトにちなみ、三洋堂書店ではなく「スマ本屋」名鉄神宮前店とした。スマホ閲覧に適した自社ウェブサイトと連携し、そこから注文した書籍を店頭で受け取る「クリック&コレクト」に特化した。売場面積は57坪予定。駐車場付きで400坪程度の郊外店が多い同社で、このサイズの小型店は初めてとなる。
一見、通常の駅ナカ書店と変わらない見た目だが、店頭受け取りは、事前に注文した来店者が店に訪れ、備えつけの専用棚から取り出して、セルフレジで会計する形を想定している。有人レジや補充スタッフは置く予定だが、書店員のレジ業務軽減となり、生産性向上も期待される。
この小型店出店には、ある理由がある。加藤代表は、これまでの同社の主流だった郊外で駐車場がとれる400~500坪クラスの店舗の出店地が、ドラックストア(DgS)やホームセンター、食品スーパーなど他業界の攻勢で確保しづらくなっていると指摘する。実際、同社の商勢圏でも、「ディスカウントドラッグ コスモス」など食品強化型DgSの出店意欲はとどまるところを知らない。その一方で、新型コロナ禍で飲食・外食店を中心に閉店が相次ぎ、小規模物件の空きが目立つなかで、「50~60坪ならばいくらでも出店ができる状況。多店舗展開できる可能性がある」と話した。
同社は2022年3月期に4店の出店を見込む。今期の新店出店に1億7200万円をかけ、その他投資と合わせると設備投資額は前期比1.5倍の4億7000万円と近年では最も多くなっている。4月のシャオ西尾店、5月に菰野店のいずれもインショップ型の300坪クラスに続けて、今後「スマ本屋」のような小型店の出店で次代の書店像を模索していく。
コロナ禍をへて事業環境や業界動向にあわせて変化させていくことがより必須となるなかで、三洋堂の事業変革は書店減が続く業界のなかでもひと際目立っている。
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