ユニー代表取締役社長 佐古 則男
衣住がけん引しアピタ好調 2020年度、営業利益200億円めざす
──キッチンの市場は今後も伸長が期待できると、業態の垣根を超え他社も強化しています。
佐古 当社では、SPA(製造小売)の手法により、売れ筋については独自商品を投入します。ただ品揃えとしては松竹梅が必要で、とくに松は魅力的なブランドを取り入れます。独自商品は、ポピュラープライスやロアポピュラープライスのラインに投入。キッチンに力を入れるといっても用品全般でなく、皿やフライパンはやるけれど、ガラスコップはやらないなど、品目を絞って展開します。
──独自商品といえば、ユニー、イズミヤ(大阪府/四條晴也社長)、フジ(愛媛県/尾﨑英雄社長)で共同開発するプライベートブランド(PB)の「スタイルワン」「プライムワン」があります。
佐古 他社にはない商品として今後も力を入れていきます。幅広いカテゴリーがありますが、これからは野菜をはじめ、生鮮食品の開発も検討します。産地と連携、健康志向をはじめ付加価値型の商品を増やしたい。
──近年、新しいプライベートブランド(PB)が売場で見られます。
佐古 「デイジーラボ」というブランドで、徐々に商品を増やしています。手掛けているのは、全員が女性のタスクチーム。これまで住関品を中心に、約500アイテムの商品を開発しました。17年9月には「easy care」シリーズとして、秋冬用のオリジナルセーターや寝具、ボトル等24アイテムを発売、商品のカテゴリーも徐々に広がっています。
当社の店舗に来られるお客さまの8割は女性。やはり女性の力、感性をもっと活用すべきだと考えています。実際に出てくる商品は、デザイン、色使いが男性によるものとまったく違う。彼女たちにとっては、自分が買いたい商品をつくるという感覚なのでしょう。
──バイヤー職に女性を増やしているということですか。
佐古 いえ、男性バイヤーと一緒にバイイング、開発を行っています。商品のほか、売場づくり、ゾーニング、内装にも彼女たちの意見を取り入れています。そのなかで女性だけで手掛けた改装もあります。「男子禁制プロジェクト」と題し、「アピタ精華台」(京都府相楽郡精華町)をリニューアルしました。ただ女性が活躍する場が増えるといっても、男性が得意な分野もあります。企画と実務など、適性を見極めながら男女がそれぞれ力を発揮できる職場環境を整えていきたい。
困りごとを解決するサービス
──徐々に利用者が増えているネットスーパーはどのような考えですか。
佐古 当社では40店で「アピタネットスーパー」を展開しています。確かにお客さまに対するサービスとしてはいいのですが、ビジネスとして成立させるのは難しいと考えています。収益を確保できるモデルとするため、ビジネスを再構築していきます。
同じネットスーパーでも、市街地や郊外における当社のドミナントを活用したネットSMと、店が少ないローカルエリアの2つのタイプがあります。このうちローカルエリアは、買い物不便地帯に向けたサービスで、採算をとるのは難しいのが現状です。今後は産地と連携し、産直のようなスタイルでお客さま宅へ定期的に商品を届けるような仕組みも取り入れることで、新しいモデルができればと思っています。販売するのは、モノだけでなくサービスでもいい。たとえば介護サービスの一環で、髪の毛をカットするとか、ペットのトリミングといったもの。お客さまのニーズに耳を傾け、考えていきます。
──店舗ではユニークなサービスを提供しているそうですね。
佐古 アピタ稲沢東店(愛知県稲沢市)では、「暮らしカフェ」といって、飲食できるカフェの周囲に、生活に関する困りごとを解決するサービス窓口を併設した空間をつくっています。掃除や家事代行、介護や健康、相続など、それぞれ専門の業者がお客さまの相談に乗っており、好評を得ています。
アマゾンや楽天はじめ、ネット通販が台頭するなか、当社ではリアル店舗ならではのサービスにも力を入れ、差別化を図っていく考えです。