[東京 26日 ロイター] – 東芝の株主であるシンガポールのファンド、3Dインベストメント・パートナーズは26日、東芝への書簡で、非上場化も含め「戦略的選択肢を再検討」するよう求めた。これに対し東芝は、非上場化にはさまざまな課題が存在するとの認識を示し、「上場会社としてのメリットを生かすことが企業価値の向上につながる」とコメントした。
東芝は今月に入り、英投資ファンドCVCキャピタル・パートナーズから買収の初期提案があったことを明らかにしていた。提示価格は1株約5000円とされる。しかし、東芝は20日、CVCの初期提案は具体的な詳細が記載されておらず「評価不能」と判断したとして、提案に応じない方針を明らかにした。CVC側も買収に向けた検討を中断した。
東芝株式の約7%を持つ3Dインベストメントは、東芝の一連の行動について、CVCの提案は敵対的買収であるとの印象を与えたと批判。3Dインベストメントとして非公開化を求めているわけではないとしつつ、「非公開化を含めた企業価値向上策の提案を歓迎するという立場を明確に伝えるべき」と主張した。
その上で、東芝のブランド力や、競争力のある知的財産・資産の潜在的な価値などを考慮すれば、株式の適正な価値は1株6500円超だと確信しているとしている。
東芝は、非上場化を含めた提案を選択肢として排除することはないとしつつ、現時点において上場していることが企業価値の向上につながるとの考えを維持している。今後、具体的な買収提案がされた場合は、取締役会として真摯に評価・検討するという。
ある銀行幹部は、CVC以外ほかのファンドなども含め、融資の打診や交渉に関する話は進んでないと明らかにした。その上で「原点に戻り、株主と誠意を持ってコミュニケーションを取ることが一番大事」と話した。