「SMだけでは永続的な成長は難しい」食品製造小売業に舵切り!=阪食 千野 和利 会長
店舗の全面改装は5日で完了
──15年11月には「高質食品専門館」の集大成と位置づける、阪急オアシス箕面船場店(大阪府箕面市:以下、箕面船場店)がオープンしました。
千野 実は2年前からこの店に照準を合わせ、品揃えや店づくりの手法を磨いてきました。さらに国内の競合店、各種の専門店を視察したほか、アメリカやヨーロッパ、香港などにも足を運び、新店に生かせるヒントを探しました。
その結果、箕面船場店では従来の「高質食品専門館」を大きく進化させることができたと自負しています。
店内デザインも刷新、これまでは扱っていなかった商品や売場を取り入れるなど、多くのことにチャレンジしました。
──品揃えや店づくりのほか、「阪急オアシス」というブランドを再構築する意味でも重要な店舗のようですね。
千野 そのとおりです。箕面船場店では、ユニフォーム、買物バッグ、包装資材など、多くのコンテンツを見直しました。来店されるお客さまだけでなく、店舗で働いているスタッフの目にも新鮮に映っているはずです。
「ブランディング」への取り組みは、われわれのアイデンティティをひとつにするのがねらいです。
阪食グループは、阪急オアシス、阪急ファミリーストア、ニッショー、さらに、阪急百貨店向けの商品を製造していたメーカーなどを再編、もしくは吸収しながら誕生した企業です。いわば異なる企業文化の集合体です。
だからこそ今、働いている従業員、そしてこれから入社する人の思いを統一したかったのです。
──集大成となる店舗の準備をしながら、従来どおり新規出店、さらに既存店改装も着々と行っています。異なるプロジェクトを、同時並行で、しかも滞りなく進められるのはなぜですか。
千野 ここ数年来、限られた時間、コストの中で最大の成果を出すにはどうすればいいかを真剣に考えてきました。当初は失敗ばかりでしたが、徐々に効率的な手法をつくり上げました。
つまり、新規出店、改装、研修といった分野ごとにタイムスケジュールを立て、パッケージ化しているのです。現在、全面改装は、5日間で完了させることができます。24時間×5日=120時間の中で、何をどうするかの詳細な段取りを決めています。什器の撤去、床の張替え、電気工事など、すべて順番も決まっています。それらのパッケージを組み合わせ、事業計画を進めます。これらノウハウの蓄積が、出店により得られた最も大きな成果です。