マーケットイン発想で売場をつくり直す!=ユニー 佐古 則男 社長

聞き手:千田 直哉 (株式会社ダイヤモンド・リテイルメディア編集局 局長)
構成:下田 健司
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全従業員でマーケティング活動

──スタイルワン研究所がマーケティング機能を担うのですか。

佐古 スタイルワン研究所だけがマーケティングを行うわけではありません。バイヤーはもちろん、店舗指導員の「フィールドマーチャンダイザー」も、ほかの従業員もすべてです。基本的には、自分たち自身でマーケティングとは何かを考える。スタイルワン研究所だけのマーケティングでは不十分です。全従業員がマーケティング活動を行うことが必要になります。

──従業員からのフィードバックの仕組みや組織はどうなっていますか。

佐古 フィールドマーチャンダイザーが、本部の考えを店舗に伝え、店舗の情報を本部に伝える。これが1つです。それからESプロジェクトという従業員満足のためのプロジェクトがあります。これは店舗の意見を吸い上げることを1つの使命としています。それから、改善活動もあります。2600の改善チームが活動をしています。お客さまのためになることや喜ばれることをPDCA(計画・実行・検証・改善)を回しながらやっています。こうした、いろいろな組織体を組み合わせてやることになります。

 また、月に2回、カジュアルデーを設けていて、商品部やスタッフ系の従業員が自社開発の商品を着て、商品の不具合やサイズ・裾・縫製の問題点を本部にフィードバックします。それを受けて、商品部は商品を改良していきます。

──まさに従業員が一体となったマーケティング活動ですね。

佐古 情報は、お客さまから直接入手するべきです。お客さまの、いちばん近くにいるのは店舗の従業員です。本部が集めた情報には推測や予想が入り込みます。縮小市場で、どうやって「商売の確率」を上げるかとなると、店舗の従業員がお客さまから情報を収集することがまずは必要になります。

 これからの商品政策は、5W1Hをはっきりさせなくてはいけません。だれに、何を、いつ、どこで、なぜ、どのように提供するのか。これをはっきりさせるほど、売れる可能性が高くなります。そのためにも、お客さまから情報を収集することが重要になるのです。

製造小売化をめざす生鮮・総菜で差別化

──差別化の肝は商品になりますか。

佐古 われわれはモノ売りですから、モノが他社よりいかに優れているか、あるいは負けていないかということが重要です。スタイルワンは、商品価値をライバルに負けないレベルにすることを重要視していて、圧倒的に勝つ必要はないと考えています。なぜならば、ナショナルブランド(NB)と品質が同等で、お値打ち感があるという商品だからです。しかし、プライムワンは圧倒的に独自性がないと、ライバルに勝てない商品ととらえていますから、これが大きな差別化の肝になってきます。

──製造小売化の方向に向かっていくのですか。

佐古 そうです。加工食品・チルド・菓子・酒類・生鮮食品・総菜で、川上にさかのぼってモノづくりにかかわっていくことになると思います。

 オーバーストア化が進む中で、NBは価格競争が激しくなっています。価格競争を避けるためには、価値を求めるお客さまに、他社にない生鮮食品や加工食品をどのように提供するかがポイントです。以前は、メーカーのプロダクトアウトによる商品を、お客さまの需要に合わせて供給して、品切れしないようにすることが重要でした。今は、マーケットインでお客さまのニーズを拾い上げて、マスのニーズを商品化する時代に変わってきています。われわれからお客さまに近づき、商品を発案して、独自のPBをつくる必要があるのです。

 中期的には、開発商品の割合を25%程度に引き上げます。生鮮食品を含めるともっと高まるでしょう。最大の差別化商品は生鮮食品や総菜になります。

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聞き手

千田 直哉 / 株式会社ダイヤモンド・リテイルメディア 編集局 局長

東京都生まれ。1992年ダイヤモンド・フリードマン社(現:ダイヤモンド・リテイルメディア)入社。『チェーンストアエイジ』誌編集記者、『ゼネラルマーチャンダイザー』誌副編集長、『ダイヤモンド ホームセンター』誌編集長を経て、2008年、『チェーンストアエイジ』誌編集長就任。2015年、『ダイヤモンド・ドラッグストア』誌編集長(兼任)就任。2016年、編集局局長就任(現任)。現在に至る。
※2015年4月、『チェーンストアエイジ』誌は『ダイヤモンド・チェーンストア』誌に誌名を変更。

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