ビジネスは「一勝九敗」 ファーストリテイリングを世界的大企業に導いた“柳井哲学”
“見切り”の速さも一流
柳井さんの経営で目を見張るもののひとつに撤退速度がある。どんなに思い入れを一杯込めてスタートした事業でも、うまくいかなければ早ければ半年ほどで見切りをつけ、撤退してしまう。前述の「ファミクロ」「スポクロ」や「SKIP」の事業はその典型だ。
「速いかどうかは分かりませんが、儲からないものや将来性がないものをやっていても仕方がないので撤退しています。ただし、事業とは実際にやってみるまではわからないものであることも事実です。僕はあらゆる計画というのは全部、“机上の空論”だと言っています。だから、わからなかったら、やってみることが大事だと。だからやってみって、『失敗したな』と思ったら、そこですぐ引き上げてしまう。そうすれば企業は潰れないものなのです。ただそれでも、これまでを振り返ると、新規事業については、『やりすぎたな』と反省もしています」と柳井さんは後に振り返っている。