楽天2020年12月期決算、EC事業とネットスーパー大幅増!来期の重点施策、物流と西友の行方

若狭 靖代(ダイヤモンド・チェーンストア 記者)
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EC成長の重点施策はリピーターの獲得とクロスユースの促進

 日本のEC市場規模は約20兆円で、家計消費全体の約300兆円に占めるECの割合は6〜7%に留まる。しかし、欧米ではEC比率が20〜30%程度であることを考えると、「(EC市場は)まだまだ拡大する」と三木谷氏は力を込める。

 さらなるEC事業の成長に向け楽天が注力するのは、独自のポイントプログラムなどによるリピーター、ロイヤルカスタマー(好んで繰り返し利用してくれる、競合に流れない顧客)の醸成および新規顧客獲得や、クロスユースの促進などだ。クロスユースとは、同一企業が提供する複数のサービスを横断的にユーザーが利用することで、例えば楽天市場しか利用したことのない顧客に、楽天ブックスや楽天トラベル、ネットスーパーなど他のサービスも利用してもらい、需要を囲い込むものだ。「楽天エコシステム(経済圏)」を掲げる同社としては、楽天カードなどのフィンテック事業や、20年同社が強力に推し進めたモバイル事業などの伸び代にもつなげたい考えだ。

物流強化も21年の重要施策

 EC事業の拡大で欠かせないのが物流の改善だ。楽天ではこれまでも、自社物流倉庫に在庫を保有し、店舗に代わって梱包・発送などの手間を負担、365日の発送対応や翌日配達を可能にする「楽天スーパーロジスティクス(以下:RSL)」という楽天市場の出店店舗向けサービスを提供してきた。20年はコロナ禍の影響もあり、このRSLの利用店舗数が対前年比87.4%増、出荷量は同140.7%増と急伸長。来期はRSLの受入量拡大、利用促進に注力し、店舗の売上拡大と顧客の利便性向上に努める。

 また20年12月、楽天は日本郵便との物流領域における戦略的提携に向けた基本合意書の締結を発表した。日本郵便・楽天それぞれが持つ豊富な知見を持ち寄り共同物流拠点の設置や共同事業を展開する予定で、物流網を強化し配送料の変動を抑え、安定した配送を提供するための土台として新たな物流プラットフォームの構築をめざす考えだ。

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