「神戸物産」20年10月期決算、純利益前年比24.8%増で新規出店も好調、来期も“堅実”な成長をめざす
出店戦略のカギは九州と関東圏
今期目標を上回る35店舗を出店した神戸物産だが、新規出店のほとんどは九州で行われた。業務スーパーの契約形態には2種類あり、一つは「直轄エリア」と呼ばれる地域で行われる一般的なフランチャイズ契約。もう一つは「地方エリア」と呼ばれる地域で行われるもので、許諾を受けたオーナーだけがその地域で出店することができる、というライセンス契約だ。ライセンス契約のデメリットとして、本部からの仕入れにかかる物流費がオーナー側の負担となるという点がある。
九州は地方エリアに属してきたが、神戸の配送センターからの物流費が高くつくため出店が伸びなかったという背景があった。これを解消するため鹿児島を除く九州を直轄エリアに変更、オーナー側の負担を軽減したことで出店数が増加。「来期も九州への出店がカギになる」と沼田博和社長は話す。
また、出店戦略に変化が見られたのが関東圏だ。業務スーパーとして十分な品揃えをするためは120〜150坪程度の売場面積が必要だが、関東圏では物件の確保が難しい。「狭い面積で無理に出店すると品揃えが不足し、結果売上が伸びきらないというのがこれまでの傾向だった」(沼田社長)が、今後も店舗数を伸ばし続けるためには狭小店舗での成功パターンを掴む必要がある。そのため現在、什器の工夫などで、80坪程度でも十分な品揃えを確保できるよう試行錯誤を重ねている段階だという。ただし、今後も「従来の面積での出店を基本とし、狭小店舗は代替策。積極的に展開していくことは考えていない」(沼田社長)。
これらの施策により来期924店舗、2025年頃をめどに1000店舗を達成したい考えだ。