ニトリVS DCM 島忠をめぐる買収合戦、双方のねらい 買い付け価格はニトリが1300円上回る
ニトリHD、DCMが、島忠をどうしても欲しい理由
一方で、人口の集中する都心部に自社物件を多く展開する島忠は、ニトリHD、DCM双方にとって魅力的だ。両社にとって出店の空白地で、本格的に開拓したいエリアだからだ。
ニトリHDにとっては、「新たな成長の乗り物」の1つとしてHCをとらえているだろう。国内ニトリ店舗が440店舗(20年度2Q末)となり、半期で純増7店舗とその出店速度にも陰りがみられる。だからこそニトリHDは、成長スピードを失わないよう、「ニトリエクスプレス」、「デコホーム」、そしてアパレルの「N+」と新しい乗り物となりうる新業態を次々と試している。島忠買収でHC業界に参入できれば、3兆9537億円(出典:ダイヤモンド・ホームセンター誌)マーケットで、家具・ホームファッションという他のHCにはない差別化売場を武器に、新たな成長戦略を描くことができる。
一方、HC業界第2位のDCMにとっては、同業のHC企業である島忠を買収することで、極めて手薄な都心部の店舗網を一気に構築することができる(DCMの持分法適用会社であるケーヨーは都心部での店舗は少なく、あっても店舗規模は小さい)。
島忠は、外国人投資家や機関投資家の割合が多いが、その理由は同社株価を割安とみているためだ。彼らの動向がTOB合戦の結果(TOB価格の修正含む)を左右することになりそうだ。どちらが島忠を奪取するにせよ、HC業界でさらなる再編が加速することは必至の情勢だ。