ウィズコロナ時代のショッピングセンター経営2〜揺らぐビジネスモデル、「テナント売上依存」の限界〜
出生数の減少と合計特殊出生率が表す
「人口の減少」
この生まれる子供たちの減少は、合計特殊出生率で表すことができる。今、日本の合計特殊出生率は低下の一途であり、昨年は1.36まで低下した(図表2)。これは全国平均であり東京に限ると1.15まで低下する。この低下の理由は多くの事象が複合的に絡み合っているので説明は割愛するがこの傾向は、今の日本の社会環境や国土政策を見る限り、そう簡単には改善しないだろう。
この出生数の減少が人口の減少に及ぼす影響を死亡者数―出生数と単純計算すると死亡者数138万人―出生数86万人=52万人の減少となる。鳥取県の人口が56万人であるから、毎年鳥取県に匹敵する人口が消えていくのである(図表3)。
人口構造の変化が与える影響
ショッピングセンターや商業施設の収益力の低下の原因には、人口減少ともう一つ大きな要因がある。それは人口構造である。
これまでショッピングセンターの中心的ターゲットは、団塊世代と団塊ジュニア世代であることを前段で指摘したが、現在、団塊世代は既に高齢化し消費者市場では大きな塊では無くなり、頼みの綱だった団塊ジュニア世代は今年50歳へと手が届くまでとなった。
本来、この団塊ジュニア世代に続く「団塊ジュニアJr.世代」が存在すれば大きな問題にならなかったものが、2020年の人口ピラミッドから明らかな通り、消費市場を牽引するはずの20代~40代が急速に減少している。
この傾向がますます顕著になることは、この人口ピラミッドの先細り(図表4)を見れば明白であり、年を追うごとに市場は縮小する。人口問題は、巷の経済予想とは異なり大きく狂うことは無い。何故なら過去に遡って人口を増やすことは不可能だからである。唯一、修正する方法は移民を受け入れることだが、今の日本には簡単な問題では無いだろう。
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