彷徨うコンビニその8 独自路線のポプラが狙うのは
ポプラが狙う「マイクロマーケット」
では、ポプラは低迷する業績をどのようにして改善しようとしているのか。カギを握るのは、ポプラが目下進めるニッチ市場、閉鎖市場の開拓、そして加盟店の協力関係の強化だ。
ポプラでは髙島屋グループだったコンビニチェーン「生活彩家」を買収、自社のブランドの1つとして展開している。近年のポプラは、病院の中にこの生活彩家を積極出店している。
現在の病院内の店舗数は約80店舗。コーヒーや弁当、おにぎりのほか、病院側の要望による医療関連の雑貨や、見舞客のニーズに応える商品を揃えるなど、病院内店舗のノウハウが蓄積されつつあるとのことで、一定の成果が見られつつある。
またポプラは、生活彩家だけでなく、「ポプラ」の屋号でも工場や物流施設、官公庁、ホテルといった特殊立地、閉鎖商圏への出店を進めている。コンビニ飽和が囁かれる中、大手チェーンに先回りするように、こうした「マイクロマーケット」へ出店するポプラ。この成長戦略が、吉と出るか凶と出るかはまだ誰にもわからない。
早期から加盟店支援策を実施
こうした出店政策と並行して取り組んでいるのが、フランチャイズ(FC)加盟者に対する支援だ。
流通業界全体で人手不足が深刻になり、セブン-イレブン・ジャパンの一部加盟店が“反乱”を起こし、「24時間営業問題」が社会問題となったのは記憶に新しい。その一方、一連の問題が明るみに出るはるか以前の15年2月期から、ポプラは24時間営業の見直しを進めている。
15年2月期における加盟店の24時間営業店の比率は42.3%。19年2月期には、これが18.9%まで下がっている。加盟店運営の自由度を高め、負担の少ない運営形態を模索しているのだ。
さらにポプラでは19年3月下旬から、弁当やおむすびの値引き販売の推奨しはじめている。19年8月末には、セミセルフレジへの切り替えを完了するなど、「加盟店ファースト」のスタンスを鮮明にしている。
ポプラは19年5月に、共同出資の合弁会社ローソン山陰の株式をローソンに売却している(ローソン山陰は20年3月にローソンが吸収合併)。これにより、ポプラは13億9600万円の特別利益を計上。20年2月期業績予想では、当期純利益11億円で着地するとしている(前期は21億円の当期赤字)。
ただ、本業の儲けを示す営業利益は赤字を見込んでおり、ローソン頼みの厳しい経営が続く。大手3社による寡占状態が強まるコンビニ業界。4位以下の苦境は深まる一方だ。漂う閉塞感をポプラは打破できるか。正念場を迎えている。
彷徨うコンビニ の新着記事
-
2020/04/27
彷徨うコンビニエピローグ アフターコロナの“見えざる敵”とは? -
2020/04/19
彷徨うコンビニその10 コンビニ各社を襲うコロナショック -
2020/04/13
彷徨うコンビニその9 スリーエフが独自性を保つための「最終手段」 -
2020/04/06
彷徨うコンビニその8 独自路線のポプラが狙うのは -
2020/03/30
彷徨うコンビニその7 山崎製パンがデイリーヤマザキを手放せない事情 -
2020/03/16
彷徨うコンビニその5 ミニストップが温める一発逆転の“秘策”
この連載の一覧はこちら [10記事]
ポプラの記事ランキング
- 2025-02-20週刊コンビニエンスストアニュース 米の奥深さが伝わるローソンの「日本おこめぐり」
- 2025-11-27セブン-イレブン、「セブンカフェスムージー」が「食品産業技術功労賞」を受賞
- 2019-09-11ポプラ、目黒俊治会長が社長を兼務、真司氏は社長辞任
- 2025-09-25週刊コンビニエンスストアニュース NewDays、オリジナルブランド「ニュータス」が始動
- 2019-05-23ローソンがローソン山陰を完全子会社に、ポプラから約35億円で株式30%取得
- 2019-08-27週刊コンビニニュース ローソンが深夜省人化店舗を半年間実験
- 2024-10-25週刊コンビニエンスストアニュース ローソン、ポプラ、スリーエフの既存店が9月は堅調に推移
- 2025-08-19週刊コンビニエンスストアニュース 7月の営業概況、ローソンの既存店売上高が5.5%増と好調
- 2025-08-26週刊コンビニエンスストアニュース ポプラ、世代を超えて共同開発した弁当2品を発売
- 2025-10-10週刊コンビニエンスストアニュース ファミリーマート、食品安全安心・環境貢献賞を受賞!
関連記事ランキング
- 2025-11-10ローソンがおにぎり新戦略で掲げた「2つの軸」とは
- 2025-06-26コンビニ決算2025 苦境のセブン、好調のファミリーマートとローソン
- 2020-03-30彷徨うコンビニその7 山崎製パンがデイリーヤマザキを手放せない事情
- 2025-12-04セブン-イレブンの商品配送に自動運転トラックを活用へ 実証実験を開始
- 2025-11-26業態別 主要店舗月次実績=2025年10月度
- 2025-12-04平均日販69万円! 沖縄ファミリーマート、強さの源泉は「地域密着」
- 2025-10-09コンビニ市場占有率2025 市場は依然拡大も、迫られる既定路線からの脱却
- 2024-05-29平均日販3.4万円もアップしたローソンの商品政策とは
- 2025-06-05セブン‐イレブンの真のデータ民主化生成AI基盤「AIライブラリー」とは?
- 2025-05-26商品、DX、ビジネス変革……いよいよ迎えたコンビニ再成長への岐路
関連キーワードの記事を探す
セブン-イレブンの商品配送に自動運転トラックを活用へ 実証実験を開始
2種の主食メニューを一皿で ローソン「よくばりセットメシ」新商品を発売




前の記事
