スポーツアパレル市場が今後も成長する理由とユニクロの役割とは
理由2 服で着飾るよりもボディメイクが重視されるから

数年前、ユニクロは「服は何のためにあるのか」という禅問答のような問いかけに答えを見出し、普段の生活をより豊かにする「ライフウエア」(究極の普段着)というコンセプトを打ち出したのは記憶に新しい。しかし、私は何か特別なことをしているとは思えない。上記に挙げたようにユニクロの服が社会背景と合致していることがユニクロの業績を底上げする。
さてYouTubeで昔の映像を見ると、今の男性の肉体美と比べ完全に負けているということに気づく。
今、多くの男性は安物のTシャツやシャツなどを着ているが、身体は「細マッチョ」(全体には細身だが筋肉はついている最近の流行ボディ)で適度にシェイプされている。
とくに韓国映画やテレビをみると、「韓国人はみなRIZAPに通っているのか?」と思うほど、細マッチョばかりである。ニューヨークでも服は平凡なデザインのTシャツとデニムだが、6つに割れたお腹と太い腕周りが際立つ。スーツ姿も生地や編み地がどうなどという前に、全体のシェイプが格好良い。
今は、服にこだわるのではなく、ボディメイクに投資する時代なのである。ボディメイクさえできていれば、庶民の服は手ごろなスポーティな服装がむしろ好都合というわけだ。
ユニクロがスポーツアパレル市場とともにさらに成長する理由
本論考の最後に「ユニクロ」が出てくることに違和感を持つ人も多いだろう。だが、ユニクロのような過度な装飾を排したシンプルで機能的な服は、上記にあげた社会現象にピッタリなのだ。また、ヒートテックやエアリズムは日本人の「国民服下着」と言ってよく、ブラトップやワイヤレスブラ(ノンワイヤー)はワイヤーに苦しめられてきた女子を解放した。
社会現象との合致が、ユニクロの好業績、最高益更新と強く関係性がるわけだ。この合致が、戦略的に100%の意図のみで成し遂げられたことなのか、いくつかの偶然も重なった結果なのかは、何とも言えない部分があるものの、いずれにせよ「だからユニクロの服が売れる」という帰結に至ることは間違いない。だから業績低下のリスクはほとんど感じられない。
以上、スポーツ衣料、アウトドア衣料、ギアなどがなぜこれほど売れ行きが良く、これからも伸びてゆくのかという話をした。日本人は、失敗すると必死になって「失敗の原因を探せ」というが、成功したら皆で飲んでおしまいだ。これでは成長は期待できない。成長しているときほど、その理由をハッキリさせること。これが、成功し続ける秘伝の経営術と言えるかもしれない。
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プロフィール

株式会社FRI & Company ltd..代表 Arthur D Little Japan, Kurt Salmon US inc, Accenture stratgy, 日本IBMのパートナー等、世界企業のマネジメントを歴任。
著作:アパレル三部作「ブランドで競争する技術」「
筆者へのコンタクト
https://takukawai.com/contact/
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