赤字体質から脱出、ドレステリアが2年連続で過去最高益を更新した復活戦略とは

2024/05/14 05:55
小内三奈
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価格帯を2割下げてトレンド要素も取り込む

ドレステリア春ビジュアル
2024年春夏のシーズンビジュアル。女性モデルが持つバッグには、ブランドシンボルとして作成したモノグラムが用いられている

 目に見えて変化がわかるリブランディングは、実際どのように作り上げていったのか。

 新たに掲げたマーケットコンセプトは「届きやすい価格にて上質を提案する、手が届くラグジュアリ―ブランド」だ。「最もわかりやすいのは、価格帯の変化。これまで通りの上質感は維持しつつ、2割程度下げた。5万円台のジャケットを4万円台に、3万円台のワンピースを2万円台にと、全体として2割程度落としたことで、確実にターゲットが広がっていった」

 さらに、これまではトレンドに左右されない「クラシカル」を追求してきたが、新たにトレンド要素を取り入れたラインナップを加えた。ベーシックなカラー、天然素材を基本にしつつも、シーズンカラーやハイテク素材を導入するなど目新しさを加えている。

 こうした変化により、「従来の“高価格”דクラシカル”というポジショニングから、“手の届く価格帯”דトレンド感”を組み合わせたポジショニングとなり、ユナイテッドアローズ、マーガレット・ハウエルに代表されるような、幅広い世代に認知されるブランドと同カテゴリーへとシフトさせた」と靏氏は話す。

 「コア顧客は50代以上になっていたが、リブランディング後のターゲットは、“20代後半から50代の洗練されたファッション感覚をもつ男女”とかなり幅を持たせた。年齢に関係なく、良いものを着こなしたい男女に幅広くアプローチしている」

 これまで1サイズ展開が主流だったところを、現在は3サイズ、4サイズ展開しているのも、小さいサイズを求める若い世代を取り込むためだ。

 「できるところはすべて改善を徹底した」と靏氏が話す通り、改良した点はまだまだある。店舗デザイン、商品ルール、スタイリングコンセプト、販売員の接客やSNSの運用ルール、ロゴの運用ルール、ECサイトのデザイン、ショッピングバッグの刷新やボディの統一。ありとあらゆる面を見直すことで、新生ドレステリアを作り上げた。

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