日本のアパレル業界復活のために、今すぐとるべき産業政策とは 欧米企業を出し抜く!
繊維業界の現状認識 もっとも大きなインパクトを与えるものとは
99年経済産業省「繊維ビジョン」によれば、我が国の繊維・アパレル業界はその複雑な流通構造による高コスト体質を是正するための方策として、その生産工程すべてのプロセスを網羅する統一コードを作成し、ビジネスプロトコル統一によるサプライチェーンの完成が急務としているが、その具体的な施策では、海外のバリューチェーンを外した現状認識の誤った政策が行われており、結果的に弱体化した既得権者の利益保護という形で税金が無駄に使われている状況だ。
また、すでに、業界を横断した統一コードとしてJANコードがあるが、繊維産業のグローバルなサプライチェーン全体には普及していない。原因は、このコードが「商品コード」であるからだ。グローバルに複雑化した生産工程と生産拠点、原料まで含むと膨大な数量になる部品展開に対応できておらず、特にサプライチェーンのもっとも重要な、海外からの素材供給や、中国などでの製品生産といった川上~川中部分にまったく対応していないということが浮き彫りとなった。
加えて、アパレル業界は、国内消費量全体の約7割を海外から輸入しているなど、生産機能の大部分が海外に移転している。グローバルな協業体制がすでに実施されているにもかかわらず、コード統一化を図った従来のコンソーシアム参加企業や参加団体に一切の海外工場がないことから見ても、その考え方が本質的に誤っていることは明らかであろう。すでに産業空洞化している川中、川上と呼ばれる調達の部分を担う、中国などのアジア諸国との国際協業体制を目的とした業務標準化の実現こそが、業界構造改革に大きなインパクトを与えると確信した。
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