日本人の生活を服で変えるも「選択肢」を奪った!?ユニクロの功罪とは
ユニクロの罪1 「ファッションの楽しさ」を奪った
まったくの優等生であるユニクロの功罪の「罪」の部分をみつけだすのは実は難しい。
しかし、「ユニクロ前とユニクロ後」を比較してみると、若者のファッションに変化がでてきたように思う。
とくに、ユニクロに行く層は、私のように「インナーや肌着はユニクロでいいや」という合理主義者、あるいは、「ファッションに悩むなんて馬鹿らしいユニクロで十分」という層。そして、「ユニクロだったら、好きな服を好きなだけかえる」という自分自身の言い訳ができる買いもの好きな女子達だろう。
女性は、身にまとう服で自分のイメージを変えたり、気分を変えている。それによって、その日一日の行動様式は変化するのだという。
本来、ファッションとは楽しいものなのだ。この楽しさを奪った、といったら言い過ぎだろうか。
いずれにせよ、今の若者の服装を見ていると、私が大学生だったころと比べて、本当に貧しくなった(バブル時代が異常だったということも言える)と思うことがある。
ユニクロの罪2 大きさが生み出す社会的責任
次に、ユニクロの罪の部分は、その「大きさが生み出す社会的責任」である。
日本のアパレルで3兆円企業となったアパレルは過去存在しないし、これからもないだろう。
ユニクロが名実ともに、世界ブランドに変わってゆくことになるわけだが、新疆ウイグル自治区の綿糸を使ったと文句をつけられ、米国の輸入を禁止させられる、あるいは、パリで査察が入るなど、社会的影響が大きくなると、優等生としての「振る舞い」を求められる。
同社はこれまで「より高く」、「より大きく」を目指してきたわけだが、この局面でうまく自社をコントロールできるのか、という疑問が残る。
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