個店経営と「アドミニストレーション」とは
アドミニストレーションとは何なのか
個店経営の最終的要諦は、アドミニストレーションにある。アドミニストレーションとは、一言でいえば、チェーン店において店がいつ開店したかがわからないこと、つまり、「店舗のレベルに新旧の齟齬がないこと」である。
その理由は、お客はそれぞれ個々の店舗の商圏にしかおらず、絶えずその商圏(お客にとっては買物圏)内の競争店と対比して買物しており、チェーン企業の社員の大部分が常時いる場所、すなわち事実上の「教育」が行われているのは店舗で、誰もが特定の店舗を担当せざるを得ないという事情があるからである。とすれば、チェーンとしては店舗間に齟齬・優劣・新旧があってはならず、そのレベルを同じように維持し続けることが必須条件となる。
流通業界でこの単語が初めて用いられたのは、「画一売店チェーン」を提唱した「チェーン理論」によってである。その意味は、どの店も確実に画一化された売店チェーンであるようにすることであった。上意下達・命令服従・ピラミッド型組織でそれを実行する画一売店チェーンにおいて、それは本部が売店群に命令を忠実に実行するよう命じることでただちに実現した。各店舗の「ストア・マネジャー」の責任は、店舗人員のコストダウンのみであるのも、あらためてアドミニストレーションする必要がなかったことの証左である。
だが、個店経営では事情は異なる。個店経営では、個々の店舗のアソートは基本的に個々の店舗ごとに行われるため、アドミニストレーションの必要性はにわかに高まる。
そこで必要になるのは、どの店のお客も(競争他店より)いつも十分に満足するように、店長以下の店舗要員の「教育」が同じように進展すること。店舗施設の点でも店舗間格差が生じることなく、オペレーションがつつがなく実行できること。すなわち、アドミニストレーションが必須になってくる。
それには2つの要件がある。1つめが、全店の店長以下、売場主任と売場要員の教育レベルができる限り、統一されていること。2つめが、店舗・施設そのものに著しい設備格差が生じないことである。
要件の1つめ、ソフト面で重要になるのは、