食品スーパーのライフ、バイオガス発電所事業の環境・経済効果とは

ダイヤモンド・チェーンストア編集部 (株式会社ダイヤモンド・リテイルメディア)
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サステナブル

ライフコーポレーション(大阪府/岩崎高治社長:以下、ライフ)は2022年3月、食品残渣を発電に活用する「ライフ天保山バイオガス発電設備」(大阪府大阪市)の稼働を開始した。サステナビリティの実現のために、約9億円を投じて発電設備運営にまで踏み込んだもので、食品スーパー(SM)では“異例”であることから業界で大きな注目を集めた。本稿では、なぜライフが発電設備開設に至ったのか、また、いかに立ち上げから運用開始まで実行できたのかについて迫る。

事業継続・拡大のために未経験の領域に挑む

 ライフがバイオガス発電設備の開設に向けて取り組み始めたのは20年。バイオガス発電とは、食品廃棄物を発酵させて、可燃性のバイオガスを生成し、そのバイオガスでガスエンジン発電機を回す方法だ。従来の発電方法のように大量の二酸化炭素を発生させず、なおかつ有機残渣で発電できることから「カーボンニュートラル」な再生可能エネルギーとして注目を浴びている。

ライフコーポレーション近畿圏物流部部長の米谷淳二氏とサステナビリティ推進部の宗大輔氏
左・近畿圏物流部部長の米谷淳二氏。右・サステナビリティ推進部の宗大輔氏

 20年に、このバイオガス発電設備を開設したいと経営層に提案したのは、近畿圏物流部部長の米谷淳二氏だ。プロセスセンター(PC)から排出される食品廃棄物が増加傾向にあり、その解決策として提案した。米谷氏と、サステナビリティ推進部の宗大輔氏によれば、ライフの経営理念である「『志の高い信頼の経営』を通じて持続可能で豊かな社会の実現に貢献する」を実践するには、SM事業を行うなかで発生する食品廃棄やCO2の削減を図っていくべきだという。

 また、今後の事業継続・拡大のためにも発電設備開設が必要不可欠だと提言したことが、経営層の合意形成を得ることにつながった。21年度のライフの食品廃棄量は1万3000トンで、その処理に要する額はそれだけで数億円にも上っている。今後、店舗数をさらに拡大していく計画のライフとしては、食品を扱う総量が増えるに比例して食品廃棄物は増加し、そのぶん廃棄費用が重くのしかかることになる。現在、食品廃棄物の処理は外部に委託しているが、将来的にはその引受先が見つからない問題にもつながりかねず「スケールデメリットが発生する状態が予測された」(宗氏)。

 また、米谷氏は「当社には、社員のチャレンジを後押しする風土が根付いていることもバイオガス発電設備設立という未経験の領域にも踏み込めた大きな要因だろう」と説明する。

プロセスセンターの食品残渣を活用し運用

「ライフ天保山バイオガス発電設備」
「ライフ天保山バイオガス発電設備」。発酵槽を2基備え、最大20トンの食品残渣を投入できる

 ライフ天保山バイオガス発電設備は、PC横の遊休地となっていた土地を買い上げ、約9億円を

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