ヤオコー八王子鑓水店が実践! お客を飽きさせない売場づくりとは
群雄割拠の首都圏において、とくに有力な食品スーパー(SM)として知られるヤオコー(埼玉県/川野澄人社長)。コロナ禍を経ても業績は好調に推移しており、新しい競争環境のなかでも、その強さは不変である。ヤオコーはなぜお客の支持を集め続け、成長を継続できるのか。昨年9月にオープンした「ヤオコー八王子鑓水店」(東京都八王子市:以下、八王子鑓水店)を訪れ、あらためて、「ヤオコーの強さ」とは何かを考察してみた。※本文中の価格はすべて本体価格・写真はオープン日の取材時のもの
ヤオコー八王子鑓水(やりみず)店
売場に見た「強さ」の源泉
- 季節感と話題性を“先取り”する姿勢
- 回遊性を高めるための緻密な売場設計
- PBを絡めた圧倒的品揃えと独自性
季節感の「先取り」で独自色を示す青果売場
八王子鑓水店は、JR横浜線・京王相模原線「橋本」駅から北東へ約2kmの場所にある、ホームセンターや家電量販店も入居する大型商業施設「ビバモール八王子多摩美大前」内にテナントとして出店した。2022年9月28日のオープンから、約半年が過ぎたところである。
同店のストアコンセプトは「毎日の食生活が『彩り豊か』になるお店~楽しさあふれる売場を日々と週末でメリハリをつけ、彩り豊かな食生活を提案しよう~」。デイリーユースを軸としながら、ハレの日のニーズもしっかり取り込むことで、地域の食生活の“グレードアップ”に寄与することをめざした店舗である。
早速、売場を見ていこう。調査時、入口そばの青果コーナーでは台湾パイナップルとカットスイカを売場のトップに配置していた。また、早くもハウス栽培の山形県産のさくらんぼも並んでいた。一般的にはイチゴやキウイフルーツを訴求する時季であるが、季節感を先取りした品揃えで、差別化を図っているようだった。
ちなみに台湾パイナップルはコロナ禍での販売先減少や中国の禁輸措置によって、日本のSMにとっては物量が確保しやすく、コロナ禍でのブームも手伝って販売面でも“仕掛け”やすい商材の1つだ。ヤオコーはいち早く台湾パイナップルを青果の商品政策(MD)における戦略商品と位置づけ、提案に力を入れている。
こうした点が、「ヤオコーには他にはないモノがある」「季節感を先取りして感じられる」「さまざまな選択肢のなかからよいモノを選べる」という、ポジティブなイメージを醸成しているのだ。
他方、主通路上の右側では、バナナとカット野菜を集積した特徴的な棚割りがなされていた。この2品は青果の中でもとくに購入頻度が高いアイテムであり、その売れ行きはヘビーユーザーの数や動きを測るバロメーターともいえる。顧客の支持がしっかりとあれば、おのずと動線は壁面沿いに偏ることなく、回遊性の向上につながるというわけだ。
青果と鮮魚の間に配置されている和日配売場でも同様の仕掛けがあり、
インフレに強い食品スーパーの条件 の新着記事
-
2023/05/13
競争に強い食品スーパーの作り方と「安さ」を効果的に訴求する方法を解説! -
2023/05/12
注目マミーマートの戦略フォーマット、生鮮市場TOP とマミープラスの強さを徹底分析! -
2023/05/12
PBが全国区で人気のスーパー、ツルヤ その強さの根底にある「緻密な戦略」とは -
2023/05/11
徹底調査で判明!関西屈指の「強いスーパー」、万代の高い集客力の秘訣とは -
2023/05/11
トライアルの強みは「生鮮強化型スーパーセンター」というワンストップ性!最新店で徹底分析! -
2023/05/10
「割り切り」「バランス」「意外性」 新店・厚木船子店でベルクの強さを徹底分析
この特集の一覧はこちら [9記事]
ヤオコーの記事ランキング
- 2024-10-23ヤオコー川口SKIPシティ店がオープン、豊富な品揃えの弁当をレポート!
- 2024-11-08専門家がヤオコー久喜吉羽店を徹底分析!斬新な鮮魚改革と意外な課題とは
- 2024-11-18既存店の数字が良い企業は実践!競合スーパーが進出しても影響を受けない方法
- 2024-11-20子育て世代をターゲットにするヤオコー川口SKIPシティ店の最新MDを徹底解説
- 2024-11-12減益SM相次ぐなか中間決算絶好調のヤオコー、増収増益記録更新に向け視界良好!
- 2024-10-23週刊スーパーマーケットニュース ベルク上期決算増収減益も通期では増収2ケタ増益見込む
- 2024-11-01週刊スーパーマーケットニュース マックスバリュ東海、小型店を静岡県伊東市にオープン
- 2024-11-15週刊スーパーマーケットニュース アオキスーパー、「レジ専用イス」を全店に設置が完了
- 2024-03-11ストアオブザイヤー2024、7~10位 ヤオコー、ロピアのあの店がランクイン
- 2021-02-09ヤオコー旗艦4店舗を徹底分析!生鮮+総菜一体型売場進化の系譜と回遊性の課題解決はこう進む!
関連記事ランキング
- 2024-10-23ヤオコー川口SKIPシティ店がオープン、豊富な品揃えの弁当をレポート!
- 2024-11-08怒濤の出店で1兆円が見えたロピア!大きな進化と懸念される副作用とは
- 2024-11-07「Foods Park」の17店舗目はイオンの跡地に居抜きで出店!
- 2024-11-18レシートは語る第15回 まもなく関西進出のオーケー、データでわかる競争力と成功のカギ
- 2024-11-0633億円めざすマミーマート、生鮮市場TOPセキチュー上尾店徹底解説
- 2024-11-12価格訴求から価値提案にシフト?「岡崎エルエルタウン店」で見られたロピアの進化
- 2024-11-08専門家がヤオコー久喜吉羽店を徹底分析!斬新な鮮魚改革と意外な課題とは
- 2024-11-08店舗網とM&Aの歴史が丸わかり!最新ロピア勢力図MAP!
- 2024-11-18既存店の数字が良い企業は実践!競合スーパーが進出しても影響を受けない方法
- 2024-10-25物言う株主時代に脚光!宅配以外もスゴい「生協」の事業モデルとは
関連キーワードの記事を探す
週刊スーパーマーケットニュース アオキスーパー、「レジ専用イス」を全店に設置が完了
冷食、京都MD強化 イオンスタイル伏見桃山の売場づくりを解説
子育て世代をターゲットにするヤオコー川口SKIPシティ店の最新MDを徹底解説