人件費差で選ぶのは時代錯誤!最新のアウトソーシング、CoEとSSCが経営に必須のワケとは

河合 拓 (株式会社FRI & Company ltd..代表)
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自前のCoE組織が失敗する明白な理由

 こうした、成熟時代では頭脳戦が勝敗を決する。デジタル、企業買収、SDGS、人口減少の4つの力により大きく変貌する経営環境で、どのように生き残るのか、どのような戦略を執るべきかが全てだ。この基本情報を社長に進言するのがCoEで、この組織は自社で結成すると必ず失敗する。

 あるアパレルの経営企画の人間に「こうした動きの結果、どのような影響が考えられるでしょうか」と聞いたところ、「しりませんね。いいかげんなことを行ったら責任をとれないので」という回答だった。いかにも「サラリーマン仕事」なのである。

 しかも、自分の考えはここまでだから、あとは、あなたがやってください、という立場だ。

 そのプロジェクトは混迷を極め失敗することは明らかなのに、考えるまでが自分の仕事で、それを実践するのは別の組織、という考えなのだ。知らぬは社長だけで、このような組織の壁によるサラリーマン仕事をやっている人間ばかりになっている企業は、規模の大小に関わらすどこにでもある。逆に言えば、こうした壁を取り去り、「自分が社長ならどうするか」という考え方ができる人間を集められれば、CoEは機能するのである。

 今、社長には大本営発表とインサイトのない情報しか入ってこず、正しい意思決定ができないでいる。まさに裸の王様状態である。

 BPOを進化させ、ファーストリテイリングがコンサルティング会社や三菱商事とタッグを組んだように、これからのアパレル企業は自前主義を捨て、コンサルティング会社のノウハウを自社内に取り込むアウトソーシングである、CoEの設置が急がれている。

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記事執筆者

河合 拓 / 株式会社FRI & Company ltd.. 代表

株式会社FRI & Company ltd..代表 Arthur D Little Japan, Kurt Salmon US inc, Accenture stratgy, 日本IBMのパートナー等、世界企業のマネジメントを歴任。大手通販 (株)スクロール(東証一部上場)の社外取締役 (2016年5月まで)。The longreachgroup(投資ファンド)のマネジメントアドバイザを経て、最近はスタートアップ企業のIPO支援、DX戦略などアパレル産業以外に業務は拡大。会社のヴィジョンは小さな総合病院

著作:アパレル三部作「ブランドで競争する技術」「生き残るアパレル死ぬアパレル」「知らなきゃいけないアパレルの話」。メディア出演:「クローズアップ現代」「ABEMA TV」「海外向け衛星放送Bizbuzz Japan」「テレビ広島」「NHKニュース」。経済産業省有識者会議に出席し産業政策を提言。デジタルSPA、Tokyo city showroom 戦略など斬新な戦略コンセプトを産業界へ提言

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