ハイブリッド3PLに販売物流プラットフォームの構築…高騰する物流費への正しい対応方法とは
やっても意味がない 物流の対処療法とその理由
ここで、問題解決が不慣れな人間が陥る対処療法を紹介しよう。
①梱包の見直し
「出荷数量が増えれば梱包材の数が増えコストを圧迫する。封筒・段ボール・テープ・緩衝材などのコストも積み上がると膨大になるため、ある程度の頑丈さを担保した上で簡易なものに見直すべき」
→このような針の穴に糸を通すような努力には敬意を表したいが、これがすべて成功したとしてどれだけの原価低減になり、物流業界の人材流出を止めることができるのだろうか?おおよそ、このような些末なコスト削減をする人は、数字を書かない。
②運送会社の料金見直し
「運送会社からの要請に大半の企業はやむなしとして応じているが、そのサービス内容にまで踏み込んで検討しているだろうか。大口契約での割引や同じ宛先への割引など、交渉次第で割引に応じる運送会社もあるはずだ」
→これは、可能性はあるとは思うが、バルクプライスは商社のどこでもすでに実施していることだ。もう少し商社などの国内出荷を研究すべきだ。
③チャーター便の利用
「特定地域宛の場合、複数の依頼主の荷物をまとめて運送(混載便)するが、その場合混載便を利用するよりチャーター便を利用したほうが得策である」
→複数の荷主をまとめることは、最難関である。過去、こうした取り組みはあちこちで試みられ、私もTSI、ストライプインターナショナルの社長に共同配送を提案し、彼らも一度は「やろう」ということになったが、結局話はまとまらず、この構想は壊れてしまった。
④アウトソーシングする
「自社で工夫しても、業務への圧迫もあり必ずしも良い結果をもたらすとは限らない。思い切ってアウトソーシングした方が結果的にコスト削減につながる場合も少なくない。その際、物流業務に関わるノウハウを知る人材を残しつつ、一部を外部に任せるのがのぞましい」
→これが奏功するのは、「社内に物流がわかる人材が豊富にいて、3PL(物流業務の第3者への委託)にするとコストが下がる」ことが明確なときだけだ。これらの改革は企業の中でよく見るが、ほとんどの企業は成果をあげることができていない。理由は人材流出、増える荷物に人材が追いつかない、からである。ここを直さねば、いかなるコスト削減も、「お腹が痛いと便秘で医者に飛び込んだ患者に、ろくに問診もせず、盲腸の手術をするようなもの」である。
河合拓氏の新刊、大好評発売中!
「知らなきゃいけないアパレルの話 ユニクロ、ZARA、シーイン新3極時代がくる!」
話題騒然のシーインの強さの秘密を解き明かす!!なぜ多くのアパレルは青色吐息でユニクロだけが盤石の世界一であり続けるのか!?誰も書かなかった不都合な真実と逆転戦略を明かす、新時代の羅針盤!
河合拓のアパレル改造論2023 の新着記事
-
2024/11/07
同じ低価格なのに…GUがしまむらやワークマンと「競合」しない決定的な理由_過去反響シリーズ -
2023/12/26
「低価格×デザイン」だけではない しまむら好調、もう1つの理由とは -
2023/12/19
衝撃!SPA業態そのものには優位性がない、本質的な理由とは -
2023/12/12
日本のアパレルは勝てない!Z世代起点にするDholiCのビジネスモデルを解明! -
2023/12/05
半分以上のビジネスパーソンが勘違い!キャッシュフローと運転資本を正しく理解する方法 -
2023/11/28
仕事激変で商社の競合はコンサルに!人生を自分で切り開くための方法とは
この連載の一覧はこちら [49記事]
関連記事ランキング
- 2024-12-10ワールドが三菱商事ファッション買収!進むアパレル垂直統合、2つの課題とは
- 2024-11-26イタリア繊維産業に学ぶ、高くても売れるビジネスの秘密とは 染めと売り方が段違い
- 2024-12-03ユニクロ柳井会長がウイグル綿花不使用発言に至った理由と影響、その複雑な背景とは
- 2021-11-23ついに最終章!ユニクロのプレミアムブランド「+J」とは結局何だったのか?
- 2024-09-17ゴールドウイン、脱ザ・ノース・フェイス依存めざす理由と新戦略の評価
- 2023-08-08EC時代にスクロールとベルーナだけ好調 生き残るカタログ通販、死ぬカタログ通販
- 2024-11-19ユニクロ、開始から7年で明らかになった有明プロジェクトのいまとすごい成果
- 2024-12-17あなたはいくつ備える?AI時代に生き残るビジネスパーソン3つの条件とは
- 2024-09-03アローズにビームス…セレクトショップの未来とめざすべき新ビジネスとは
- 2023-09-26無印良品の一部となる三菱商事ファッションとユニクロ:Cの成功が意味することとは