ミスターマックス・ホールディングス代表取締役社長 平野 能章
オペレーション改革で業績回復、今期はデジタルの実験をスタート!
──補充作業を減らす取り組みが成果に結びついているのですね。
平野 商品部には棚割りを見直させました。仮に、ある店舗でペットボトルのお茶が1日500本売れるとします。この場合、店頭に山積みに陳列したとしても、ゴンドラに300本しか置けないようであれば補充作業が必ず発生することになります。
そこで取り組んだのは「それならば、500本置けるようにしよう」ということです。小売業の基本中の基本ですが、売れ数と陳列数を一致させる。この大原則を守るための棚割りづくりに力を注ぎました。
その結果、たとえば飲料のSKUは現在、一般的な食品スーパー(SM)よりも少なくなりました。ですが、1品あたりの陳列量は競合他社より多くなりました。これを突き詰めていくと、圧倒的に売れていた商品が今まで以上により売れるようになっていきます。ボリューム陳列を展開できれば、店内でお客さまの目を引くこともできます。
補充頻度が減ると、人件費が下がり、営業利益が上がってきます。飲料のような売上高のボリュームが大きな部門では、こうした効果が顕著に表れています。
成長ドライバーは食品とHBC
──2019年2月期のここまでの状況を教えてください。
平野 第3四半期までは苦戦しています。要因は反動減です。当社はここ数年、国内EC向けに水の販売を強化していましたが、利益率が低いこともあり、販売を縮小しました。また、好調を続けていたインバウンド向けの紙おむつの販売が徐々に落ち着いてきており、反動減が表れています。
これら2つの反動減の影響により、第3四半期の連結売上高は対前年比0.5%減となりました。幸い、紙おむつとネット販売の縮小分を考慮しない場合の売上高は同0.4%増と前年同期実績をクリアしています。
──今後の注力部門を教えてください。
平野 食品とHBC(ヘルス&ビューティケア)が、2大成長ドライバーです。ここは安定的に強くなってきています。売上高構成比でいうと、食品が34%で、HBCが21%です。とくに食品では、飲料と菓子、米といった商品群は“勝ちパターン”が見えてきており、SMにも負けない自信がついてきました。
一方で課題となっているのが、加工食品と冷凍食品です。ここはメーカーや問屋さんの政策の見直しを含め、カテゴリー全体の組み直しを考えなければなりません。
加工食品については自社開発商品を増やしていきますが、冷凍食品は配送料や什器への投資といったコストの問題があるほか、粗利益率が低いうえ、さらに競争も激しい。まだ答えは見つけていませんが、売上高は伸びているカテゴリーですので、慎重かつ確実に変えていかなければいけない部門だと認識しています。