大木ヘルスケアホールディングス 代表取締役社長 松井 秀正
小売業とメーカーをつなぐ役割をPB開発でも積極的に担う!

阿部 幸治 (ダイヤモンド・チェーンストア編集長)
構成:室作 幸江
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医薬品やヘルスケア用品を中心に、商品調達からプライベートブランド(PB)開発、新規参入のバックアップまで幅広く応える大木ヘルスケアホールディングス(東京都)。ヘルスケアへのニーズが高まる昨今、需要創造型の新しい中間流通業をめざしている。今年6月、新社長に就任した松井秀正氏に、流通戦略と今後の展望を聞いた。

HBCカテゴリーにおいて圧倒的な地位を築く!

──健康志向の高まりを背景に、食品スーパー(SM)や総合スーパー(GMS)の間でもヘルスケアに関心が集まっています。まずはヘルスケア市場の現状について教えてください。

まつい・ひでまさ●1974年生まれ。99年大木入社。2006年取締役。09年専務取締役、翌10年代表取締役副社長。15年代表取締役副社長兼統括管理本部長。18年6月代表取締役社長就任(現任)。

松井 ドラッグストア(DgS)を中心とした業態は順調に推移していると認識しています。それは、食品や調剤といったカテゴリーをほかの業態から取り込んでいるからであり、その部分は伸びています。インバウンド消費も好調で、安定的な売上をつくり、取り組んだ部分に関してはプラスです。

 しかしながら、実際の国内ヘルスケア市場は、外部要因も多く、とらえにくくなっています。そもそもヘルスケアは季節要因が左右するマーケットです。たとえば今夏のように、「日焼け止めは好調だけど、殺虫剤は厳しい」といった変動がありますから。また、人口減も大きく影響しています。加えて、スイッチOTCも含めて、大型の新商品がここのところ出ていません。それゆえ、外から見るほど楽観視できないととらえています。

──そうしたなか、流通戦略をどのように描いていますか。

松井 今、私達がめざしているのは、「医薬品スタンディングの美と健康と快適な生活にウイングをもつ需要創造型の新しい中間流通業」です。そのためにも、ヘルス&ビューティケア(HBC)カテゴリーにおいて圧倒的な地位を築きたい。

 消費者がHBC商品をどこで買うかといえば、DgSを中心に、SM、GMS、ホームセンター、通販、インターネットなどさまざまです。したがって、すべてのチャネルで、さまざまな角度から生活者に提案していくというのが当社の戦略です。

──なかでもとりわけDgSに重きを置くことになりますか。

松井 得意先としてDgSが多いのは事実ですが、それだけで重きを置くというわけではありません。近年、杏林堂様やドン・キホーテ様などのように、カテゴリー分けしづらい企業におけるヘルスケアの取り扱いが増えています。それゆえ、当社では業態別ではなく、企業別で管理しており、企業対企業で取り組ませていただいています。

PB開発の受託窓口として製造もコントロール

──昨今の小売業のニーズについてどう感じていますか。

松井 価格志向や自社開発志向など、小売業もいろいろですから、当然ニーズもそれぞれ異なります。そうしたなか、当社では単に「届ける」だけの卸売業ではなく、「商品企画から開発、店頭展開までを行う」中間流通業をめざしており、それぞれの企業に合った提案を行っています。

──ナショナルブランド商品だけでは差別化できなくなるなか、小売業においても独自の提案や独自の商品が求められています。そこに貴社が積極的に関わり、サポートしていくということですね。

松井 そのとおりです。たとえば、自社で商品開発を行う場合、食品に比べてヘルスケアは難しいものです。パーソナルケアゆえニッチな市場ですから、小ロットでの生産となり、採算が取れないリスクがあります。そこで、当社が受託窓口として間に入ることで、PB商品を実現します。「こんな感じのPBをつくりたい」と言ってもらえれば、それをカタチにするというわけです。これまでにサプリメント、青汁、食品、衛生材料などさまざまなPB商品を手掛けてきました。

 小売業とメーカーの規模の差がずいぶん変わってきているので、直接交渉するのはなかなか難しくなっています。そこに当社が入って、間を取り持つ。もともと卸売業として、小売業とメーカーをつなぐビジネスをやってきたので、その役割をPB開発でも担っているということです。当社では、小売業側だけでなく、メーカー側の開発もやらせていただいています。

──製造を受託するメーカーや工場はどのくらい持っていますか。

松井 数は数えられないですね(笑)。これまでつくったことがないものでも、依頼があれば、メーカーを探してきてつくっていますから。結局のところ、卸である当社が間に入ることで、初期開発費用が抑えられるのはもちろんのこと、売れても売れなくても難しい発注コントロールや製品の管理なども当社が担うためコストメリットがあります。どこまで担うかはケースバイケース、企業ごとに対応します。

 ヘルスケアというのは、概して1品1品の売上はそんなに大きなものではありません。にもかかわらず、すべて自社で担当していたら大変でキリがありません。たとえば薬にしても、カプセル剤、錠剤、顆粒剤、ドリンク剤といろいろあり、同じブランドのなかで扱っていこうとすると、かなり手間がかかります。そこを当社がすべて引き受けてコーディネートします。

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記事執筆者

阿部 幸治 / ダイヤモンド・チェーンストア編集長

マーケティング会社で商品リニューアルプランを担当後、現ダイヤモンド・リテイルメディア入社。2011年よりダイヤモンド・ホームセンター編集長。18年よりダイヤモンド・チェーンストア編集長(現任)。19年よりダイヤモンド・チェーンストアオンライン編集長を兼務。マーケティング、海外情報、業態別の戦略等に精通。座右の銘は「初めて見た小売店は、取材依頼する」。マサチューセッツ州立大学経営管理修士(MBA)。趣味はNBA鑑賞と筋トレ

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