大幅減益を喫した西松屋チェーン
「V字回復に向けて打つ5つの手」とは?
西松屋チェーン(兵庫県/大村禎史社長)は2019年2月期決算を発表した。売上高は1382億円(対前期比0.6%増)、営業利益は36億円(同47.5%減)、経常利益39億円(同44.8%減)、当期純利益22億円(同54.2%減)の微増収大幅減益となった。
既存店売上高は4.2%減
主因は天候要因にある。「寒くなるのが遅れたために冬物が不振となり、処分のために値下げロスが発生した」「第2四半期、第3四半期の既存店舗が極端に悪かった。通期では対前期比4.2%減となってしまった」(大村社長)。
ただ同社はまったく沈んでいない。「2019年1月からはお客様の数が増え始めた。経験的にいえば、客数増傾向になってくると売上は伸びるもの」(大村社長)。
もちろん戦略はある。同社は5つの政策でV字改革に乗り出す。
ひとつ目はPB(プライベートブランド)の開発拡大だ。現在売上構成比15%のPBを将来的には50%までに引き上げる。
ベーシック商品とクラシック商品を低価格で提供。その実現に向けて、家電メーカーなど出身の一流の技術者を継続的に採用するとともに、社内ではマーチャンダイザーを育成する。さらにグローバルなソーシングルートの開拓でコストダウン。売れ筋追加生産体制を確立。SKUを売れ筋に絞り込み、機会ロス防止に取り組んでいく。
2つ目はドミナントエリアの構築と店舗の大型化推進だ。同社は2018年12月に1000店舗を突破。現在は1004店舗を展開する。今後、人口集中地域への出店に注力し、首都圏における店舗モデルを構築したい考えだ。既存店舗はビルド&スクラップで大型化を図り、拡大したスペースには「スクールサイズ」など取り扱い品種を充実させる。
3つ目はインターネット販売だ。2019年4月現在、国内ECサイト8ヵ所と越境ECサイト2ヵ所に出店している。2018年度の売上実績は約42.3億円(同25.5%増)と順調に伸び、2024年2月期には150億円を目指している。しかし現状、売上の大半は「オムツ」や「粉ミルク」などの消耗品だ。「とりあえず売上増を目指して出店してきた。しかしそれにともない宅配コストもかさばる。今後は収益性向上を重点課題に自社サイトの開設も検討したい」(大村社長)。
商品の海外販売で販路拡大
4つ目はローコストオペレーション。実際、人手不足の折にもかかわらず人件費は前年を下回った。「店舗で行ってきた人時数管理を本部での一元管理に移行した。作業時間の分析で個店別に偏在していた労働力を平準化できたため。今後は、自動釣銭機などIT機器やRPAを活用することでさらなる作業効率アップを図りたい」(大村社長)。
そして最後は、PB商品の海外販売と卸売り販売の取組みだ。この4月から日本の貿易会社や現地の輸入代理店を通じて、アジア地域で小売店を展開するチェーン企業に同社のPB商品を販売する。すでに台湾のベビー・子供服専門店チェーン「Les Enphants」(約180店舗)、ベトナムの日本製日用品専門店チェーン「さくこ」(約20店舗)、中国のスーパーマーケット「銀泰西選」(約30店舗)や香港の複数の小売チェーンへの販売が決まっている。さらにはアリババグループ傘下の「天猫(Tmall)」への出店。羽田空港国際線ロビーと国内空港免税店でもPBを販売する。少子化が止まらない国内市場でシェアを高め、中産階級と人口が増えそうなエリアでの市場奪取に乗り出す。
同社は諸策を実施することで2020年2月期の売上高1450億円(同4.9%増)、営業利益62.7億円(同74%増)、経常利益65億円(同65.2%増)、当期純利益40.3億円(同84.7%増)を目指す。
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