不況下で支持基盤を広げて大躍進、満を持して九州に乗り出す!=大黒天物産 大賀昭司 社長

聞き手:千田 直哉 (株式会社ダイヤモンド・リテイルメディア編集局 局長)
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──より低コスト経営を実現することで、企業体力を高めていくということですね。現在の大黒天物産の売上高販売管理費率(以下、販管費率)は17%台後半ですが、これを13%台まで落とそうと計画しています。

大賀 13.5%が目標です。そのレベルまで持っていかないと、DSは生き残れませんから、段階を追って販管費率は引き下げていきます。

──具体的な取り組みとしては何が考えられますか。

大賀 店段階の作業をどれだけ減らすかにかかっていると思います。「効率よく」ではなくて、「やめる」発想で考えなくてはいけません。おそらく他の企業に比べたらかなり低コスト体質になっていますが、まだまだ改革の余地はあると考えています。

 とくに物流費に関しては、当社は日本国内の小売業の中でもハイコストな部類に入りますので、これから出店してドミナント化を進める中で下げていきます。

──作業改善に取り組んだことで、店舗の人員は減りましたか。

大賀 そうですね。パート社員については、シフトの組み方を改善することで、人数や勤務時間を減らすことができるようになっています。

 社員については、来期以降の出店に備えて採用を増やしたこともあり、逆に余剰人員を抱えています。

 それにもかかわらず1店舗当たりの人件費は下がっていますから、店舗段階の作業人員は相当に効率化されていると自負しています。

──販管費率の目標が13.5%なら、粗利益率は?

大賀 経常利益率5%を出すのが当社の方針ですから、粗利益率は18.5%程度になります。ただし、粗利益率以前に仕入れ原価が問題です。仕入れ原価が高ければ売価は高くなってしまいますから、徹底的に安い仕入れをしていきます。

 世の中には粗利益15~16%という企業もあります。これから先は、価格競争が熾烈になっていく中で、コストをどれだけ抑えられるかに勝負がかかってくると思います。

──現状に満足しては、来るべき競争には絶対に勝てない。

大賀 今、各社とも売上も客数も利益も減っていながら、価格だけは低価格競争をしている状況です。小売業は、目 の前の戦いに乗り遅れたら淘汰されてしまいます。だから各社は利益よりも売上と客数に重点を置いた取り組みをしています。こうなったときに、やはり販管費 率の低さは勝ち抜いていくための大きな条件になってくるでしょうね。

原点にある“商人の心”を社員にあらためて説く

──一般的には不況と言われ、新卒採用を控える企業が多い中で、採用も増やしています。

大賀 今年は170人の予定です。来春も同程度を計画しています。小売業に限らず大手企業が新卒採用を抑えている状況ですから、これから出店を加速していく当社にとっては、ちょうどいいチャンスですね。

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聞き手

千田 直哉 / 株式会社ダイヤモンド・リテイルメディア 編集局 局長

東京都生まれ。1992年ダイヤモンド・フリードマン社(現:ダイヤモンド・リテイルメディア)入社。『チェーンストアエイジ』誌編集記者、『ゼネラルマーチャンダイザー』誌副編集長、『ダイヤモンド ホームセンター』誌編集長を経て、2008年、『チェーンストアエイジ』誌編集長就任。2015年、『ダイヤモンド・ドラッグストア』誌編集長(兼任)就任。2016年、編集局局長就任(現任)。現在に至る。
※2015年4月、『チェーンストアエイジ』誌は『ダイヤモンド・チェーンストア』誌に誌名を変更。

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