収益力改善に向けて既存店活性化に全力投球=イズミヤ 坂田俊博 社長
──住居関連部門はどうですか?
坂田 衣料品部門と同様に、住居関連部門でもシニアの需要をいかに取り込むかが現在の課題です。ヘルス&ビューティケア(H&BC)関連の品揃えを強化していますが、「健康」をテーマに、一部の店舗で試行錯誤を続けています。
とくに強化しているカテゴリーは、自転車です。当社では従来、あまり自転車の品揃えに力を入れてきませんでしたが昨年、自転車を強化した実験店を出店しました。従業員に自転車に関する専門知識の講習を受講してもらい、修理やサービスに対応できるようにしています。アフターフォローの態勢をしっかり整えておけば、店の強みにもなりますからね。
今秋、中国に1号店 3年で黒字化が目標
──ユニー(愛知県/前村哲路社長)、フジ(愛媛県/尾崎英雄社長)、イズミヤの3社で取り組んでいるプライベートブランド(PB)「スタイルワン」のアイテム数がずいぶん増えてきました。3社はどのように連携されていますか。
坂田 トップは四半期に1度、ミーティングの場を持っています。それ以外の実務は、商品部の各部門の責任者やバイヤーが集まって、月1~2回のペースで打ち合わせをしています。
3社のPBは「スタイルワン」ですが、ユニーさんは独自で品質志向のPB「プライムワン」をお持ちです。当社のPB「グッド・アイ」にも品質志向のシリーズがあり、商品によっては今後「プライムワン」の商品を当社のPBとして販売する可能性もあります。互いにメリットがあることを柔軟にやるのが3社の考え方です。
商品以外でも、資材を共同で調達するといった、コスト削減のための取り組みも平行して進めています。
──3社でネットスーパーのシステムも共同開発しています。
坂田 一時は不正アクセスによる個人情報漏洩で、お客さまにはご迷惑をおかけしました。事件後はサービスを中断していましたが、現在は再開しています。
ネットスーパー事業は利益を大きく上げていないのが現状ですが、社会的に必要な事業だと考えていますから、今後も力を入れていきます。
現在、昆陽店(兵庫県)を実験店として、利益を確保できるビジネスモデルを模索しているところです。以前はネットスーパーの商圏を10km四方と広く設定していましたが、現在は1.5km四方の小さなエリアを徐々に増やす方法に切り替えました。
商品については生鮮食品を強化し、利用頻度を高められるよう意識しています。現在、ネットスーパー事業の生鮮食品の売上高構成比は38%まで上がっています。こうした考え方で事業を拡大していけば、何とか黒字化できると思います。
──国内市場が縮小傾向にある中、多様なビジネス展開でシェアを上げようとしています。一方で、今年はいよいよ中国に1号店を開業しますね。
坂田 中国進出1号店は、蘇州市にオープンします。今年9月には開業できる計画です。業態は「カジュアル百貨店」で、直営の食品売場に加えて約200のテナントが入ります。
オペレーションについては業務提携先の伊藤忠商事(東京都/岡藤正広社長)グループが持つ、中国での物流網や調達機能を活用していきます。
──中国への進出は、長期的な視点で次代のビジネスの一端を担う事業の“種まき”といった位置づけですか。
坂田 いえいえ。まずは1号店を開店後3年で単年度黒字化、7年で投資回収という心づもりです。実は次の出店の話もいただいています。しかし、当社の規模では1号店の結果を見てからでないと先に進めません(笑)。
──創業90周年を迎える今年は、飛躍の年にしたいですね。
坂田 まずは何としてでも既存店を底上げしたい。「GMS不振」と言われますが、視点を変えれば便利な部分もたくさんあるはずです。当社には開店から40年以上経っても利益を出し続けている店が結構あります。そうした店に手を入れ、お客さまに喜んでいただければと思います。