収益力改善に向けて既存店活性化に全力投球=イズミヤ 坂田俊博 社長
──ディスカウント(DS)業態「まるとく市場」も、11年2月期末現在で9店あります。
坂田 「まるとく市場」業態は、今後は積極的には出店しません。
ただ、コモディティを扱う小売業にとって、ベーシックな商品を安く提供することは必須条件です。そのうえで、少しこだわりのある商品を揃え、きっちり売り込んでいける店をつくりたいと考えています。そのために商品調達力、店舗運営力をもっと磨かなくてはいけませんね。
ターゲットは団塊世代
──今年の2月1日付で組織変更を実施しました。このねらいはどこにありますか?
坂田 社内に部署が多すぎたため統廃合し、必要に応じて新たな部署もつくりました。たとえば商品部なら、衣料企画部、食品企画部、住関企画部を新設しています。商品部はこれまで店舗業務の支援といった、本来の職域とはあまり関係のない業務も担当している実態がありました。これを改めて、商品調達、品揃えに集中できる体制を整えました。
──生鮮食品で今後強化する、もしくは伸びると考えている部門は何ですか。
坂田 今後伸びると思われる部門はいくつかありますが、そのうちの一つは畜産部門です。関西は牛肉中心ですが、鶏肉や豚肉をどう売っていくかが課題です。
それ以上にニーズがあるのは総菜です。08年からは子会社のデリカ・アイフーズ(大阪府/加藤雄介社長)が当社の総菜部門を担当し、商品や売場の見直しを進めています。
たとえば、寿司のカテゴリーなら、水産部門の「魚屋の寿司」と総菜の寿司の両方を従来は展開していました。これを総菜売場にまとめ、煮魚、焼き魚なども集めて、総菜売場を充実させています。
総菜の売上高構成比は現在は10.3%ですが、これを早い時期に12%まで引き上げたいと考えています。
──「GMS衣料品不振」と言われますが、衣料品の状況はいかがですか?
坂田 衣料品部門は比較的、順調です。震災直後は少し落ち込みましたが、徐々に戻ってきました。4月は前年実績を上回り、5月に入ってからも対前期比2.4%増で推移しています。
前の年の業績がそれほど良くなかったということもありますが、少しずつ元気が出てきたと感じています。
──それはよい傾向ですね。具体的にはどのような取り組みをしているのですか?
坂田 衣料品部門はコーディネート提案の強化に力を入れています。紳士服、婦人服、子ども服といったカテゴリーごとに研究しています。
商品は、当社の主要顧客層に照準を合わせています。イズミヤを支持してくださるのは、団塊の世代が多い。それでも衣料品の担当者は、20~30歳代の若い世代をターゲットにした品揃えをしたがる傾向があります。しかしながら、まずは今いちばん利用していただいているお客さまの満足度を高めるのが先だと考えています。