収益力改善に向けて既存店活性化に全力投球=イズミヤ 坂田俊博 社長

聞き手:千田 直哉 (株式会社ダイヤモンド・リテイルメディア編集局 局長)
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 たとえば、不要な電気は消す。ビール冷ケースの温度は、冬場も2度に設定していましたが、実際には6度ぐらいで十分です。こうした細かい部分にまでメスを入れています。売場でもお客さまに迷惑をかけない範囲でコスト削減を実施していきます。

 ただ、コスト削減の余地は、それほど残っていません。ですから今期は、店舗の生産性向上に力を入れて行こうと考えています。

 売上はよくて横ばいでしょう。対前期比0.5%増で計画しています。

既存店活性化に手応え 
新店はSMが中心

──近年は積極的に店舗の改装を進めてきました。

坂田 既存店活性化に取り組むに当たり、当社の店舗の業績を分析して4タイプに分けました。(1)黒字で、利益の推移が順調な店、(2)黒字だが利益が減少している店、(3)赤字を出しているが、利益の改善ができている店、(4)赤字で、さらに利益が減っている店──の4タイプです。

 現時点では(1)は放っておいても問題はないし、(4)は何とか赤字を“止血”したいけれども難しいのが現状です。ですから、まずは効果の大きい(2)と(3)から順次、着手しているところです。

 こうした考え方に基づいて、今年4月に長岡店(京都府)をリニューアルオープンしました。黒字ではありましたが利益はダウントレンドで、これを何とか復活させたかったのです。

 商品については新しいカテゴリーを導入し、売場の組み合わせを大幅に変更しました。加熱するだけで食卓に並べられるような半調理品など簡便商材を増やしています。また、精肉部門では馬刺しのように、従来はあまり扱っていなかった商品も取り入れました。

 さらに長岡店には、いったんはやめていた「クッキングサポート」を復活させました。来店者にメニューを提案するほか、簡便商材を紹介しています。改装前の長岡店の年商は63億円でしたが、改装後は対前期比14%増の74億円を目標にしています。改装して日が浅いですが、この目標は確実に達成できると見ています。

──新規出店については、どのような方針ですか?

坂田 前下期から出店を1年間凍結し、既存店のてこ入れに注力してきました。徐々に成果が出ていますので、来年3月には新店を出店する予定です。

──イズミヤはマルチフォーマット展開していますね。総合スーパー(GMS)、食品スーパー(SM)、スーパーセンター(SuC)などがありますが、今後の主力業態は何ですか?

坂田 現在の当社の体力を考えると、やはりSMが出店の中心になると思います。出店先は大阪や京都の都心部がターゲットです。

 ただ、まとまった面積を確保できる物件は少なくなってきていますから、売場面積500坪前後の店になるでしょう。選択肢として衣食住がフルラインで揃う店舗も視野にはありますが、その場合でも売場面積800~1000坪の小型店になります。

 近年はSuCを積極的出店してきましたが、改正まちづくり三法の規制があるため1万平方メートル以上は難しいのが現状です。

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聞き手

千田 直哉 / 株式会社ダイヤモンド・リテイルメディア 編集局 局長

東京都生まれ。1992年ダイヤモンド・フリードマン社(現:ダイヤモンド・リテイルメディア)入社。『チェーンストアエイジ』誌編集記者、『ゼネラルマーチャンダイザー』誌副編集長、『ダイヤモンド ホームセンター』誌編集長を経て、2008年、『チェーンストアエイジ』誌編集長就任。2015年、『ダイヤモンド・ドラッグストア』誌編集長(兼任)就任。2016年、編集局局長就任(現任)。現在に至る。
※2015年4月、『チェーンストアエイジ』誌は『ダイヤモンド・チェーンストア』誌に誌名を変更。

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