売上高が対前年比1.6倍!アメリカ生産から始まった「ブリーフィング」好調の秘密とは
軍需工場で作られるデイリーユースのバッグ
「TUMI(トゥミ)」「PORTER(ポーター)」といった定番ブランドに加え、近年ではアウトドアブランドや新興D2Cブランドの参入など、競争が激化している印象があるビジネスバッグ市場。その中にあって、根強い支持を誇るブリーフィングの人気の秘密はどこにあるのだろうか? それには、ブランド誕生の歴史からひも解く必要がある。
ブリーフィングの「産みの親」は、現ユニオンゲートグループ代表取締役社長の中川有司氏。バッグビジネスの勉強でアメリカに渡った中川氏は、現地のある軍需工場を訪れる。そこで出会ったのが、強靭なバリスティックナイロンで作られる、軍需用のバッグだった。「このミリタリーのナイロン素材を使ってデイリーユースのバッグを作りたい」との思いを強くし、帰国。1998年に自社ブランド「ブリーフィング」を立ち上げた。今日に続く「日本で商品企画し、アメリカの軍需工場で製造する」スタイルはこの時に生まれた。
セレクトショップなどでの展開を通じて少しずつブランド認知を高めていく中で、転機となったのが2001年にアメリカで起こった同時多発テロ事件。アメリカの軍需工場が戦地に供給する衣料品などの製造に追われ、ブリーフィングのバッグの製造がストップしてしまった。
ところが、このピンチが、ブランド向上に大きく奏功した。「商品がまったく入荷されない日が続き、お客さまにもご迷惑をおかけしたが、この時に『本当にアメリカの軍需工場で作られているんだ』という“本物感”がお客さまの間に浸透した」(亀山氏)
強靱なミリタリー素材に、実用性と洗練されたデザインを兼ね備えた「日本発・メイドインUSA」のラゲッジブランドとして、「ブリーフィング」の名前は広く知れ渡っていった。