2期連続赤字で窮地のはるやまHD、業績回復の道筋は?

棚橋 慶次
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はるやまホールディングス(岡山県/中村宏明社長)が5月16日に発表した2022年3月期連結決算は、売上高が366億円(対前期比4.0%減/前期から15億円減少)、営業損失27億円(前期は36億円の営業損失)、当期純損失78億円(前期は48億円の当期純損失)だった。

4月には事業会社のはるやま商事がタニタとの協業を発表。写真ははるやま商事の中村宏明社長(左)とタニタの谷田千里社長

既存店売上高は微増で着地

 AOKIホールディングス(神奈川県/青木彰宏社長)はカフェやカラオケルーム、青山商事(広島県/青山理社長)は焼肉店や100円ショップのフランチャイズ運営など、競合が事業の多角化を進める中、はるやまホールディングスはほぼ100%、スーツ販売で勝負している。

 業態としては、「紳士服はるやま」のほか、大きいサイズ専門店「フォーエル」や20代・30代向けの「パーフェクト・スーツ・ファクトリー」をトータルで500店弱展開するはるやまホールディングス。コロナ禍におけるテレワークの普及に加え、従来からのクールビズ・ウォームビズ定着もあって、ビジネスシーンのカジュアルウエア化は急速に進んでいる。最近は金融機関のような“お堅い”業種でも、夏場は得意先の訪問時でもノーネクタイ・ノージャケットで通すところも増えてきた。

 消費者のビジネススタイルが多様化する中、スーツ量販店も変化が求められている。そうした中、はるやまホールディングスは22年3月期、「健康」をコンセプトとした差別化戦略を展開した。商品では、カジュアルでもビジネスでも使える、お財布にも優しく着心地も楽な「らくティブスーツ」を販売した。

 そのほか、形態安定性5級の完全ノーアイロンシャツ「i-Shirt(アイシャツ)」も、給水速乾性(選択してから1時間足らずで乾く)、嫌なにおいがしない優れた抗菌性、楽な着心地といった高い機能性が好評で、これまでに700万着を販売している。

 こうした営業努力に加えて、国内の消費マインドが上向いてきたこともあり、既存店売上高は徐々に持ち直し、通期では対前期100.4%と微増で着地している。ただ、売上高に関しては、店舗数の減少もあって前期実績を下回った。

身を切るコストカットを断行!

 減収の一方で、セール割引の見直しにより粗利益率が改善(前期から1.1ポイント改善)し、売上総利益の減少は小幅にとどまった。販管費に関しては、広告費・店舗メンテ費といった売上高に直結する費用は戦略的に維持した一方で、不採算店舗閉鎖(42店)により家賃および人件費を削減した。まさに、“身を切るコストカット”でなんとか止血したような格好だ。

 当期純損失については、業績悪化が中長期におよぶ可能性をふまえた減損損失、不採算店舗閉鎖に伴う損失(撤去工事費用・違約金・原状回復費用等)引当金繰り入れにより特別損失がふくらみ、赤字幅が広がっている。

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