引き取り手がないジーンズが生まれ変わる!三越伊勢丹がめざすファッション×サステナビリティ

2022/03/24 05:55
堀尾大悟
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古着市場で取り残された約20トンの「ジーンズの山」

ユーズドストック
ヤマサワプレスの倉庫に積み上がったユーズドストックの501®の山

 「2020年以降、新型コロナウイルスの影響で海外出張ができなくなってしまった。そこで、国内にフィールドを切り替えてネタを探しまわっていた」という神谷氏。そのさなかに知人から紹介されたのが、洋服のアイロンプレスや検品、補修を主業とする「ヤマサワプレス」代表取締役の山澤亮治氏だった。

 20209月、東京・竹ノ塚にあるヤマサワプレスの工場を訪ねると、目の前に現れたのはうず高く積まれたジーンズの山。工場以外の倉庫にあるものも含め、実に約20トンに上るというその量に、神谷氏は目を見張った。「古着というのは、アメリカに元締めのディーラーがあって世界中で取引されている。山澤さんはロサンゼルスに旅行に行った際、好きなお店やフリーマーケットを回るなかで、世界中で大量にユーズドストックされている501®の話を聞き、一手に引き取った」(神谷氏)。

 ダメージや汚れがひどく、見向きもされなかった約20トンものユーズドストックの「501®」から、まずインポートやヴィンテージアイテムを取り扱っていたジーンズの目利きであるセレクトショップのオーナーと古着店のオーナーが、501でないものを見分け取り除き、ランク分けする。その後、ヤマサワプレス独自の洗浄技術で汚れと匂いを洗い落とし、スタッフが一本一本馬毛のブラシをかけ、さらに洗浄する。この地道な努力で「501®」素材として活かして蘇らせようとしている山澤氏の姿勢に、神谷氏は心を動かされた。

 「私たち百貨店の強みは、さまざまなブランドやデザイナーとのネットワークを持っていること。その私たちが接点となって、この『501®』を価値あるものに生まれ変わらせることができないか?と考えた」(同)。

 神谷氏を中心にしながら伊勢丹新宿店のさまざまなバイヤーが声をかけたところ、国内外のデザイナー、クリエイターから家具、寝具メーカーまで約50ものブランド・メーカーが賛同。「501®」のユーズドストックをクリエイターと結びつけ、新たなアイテムへとアップサイクルする基本的なスキームが整った。

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