成果上がる東急ストアのネットスーパー、欠品率を約2%に低減できた施策とは
東急線沿線地域を中心に計91店舗(2021年12月末時点)を運営する東急(東京都/髙橋和夫社長)傘下の食品スーパー(SM)東急ストア(東京都/須田清社長)。同社はデジタル活用によってネットと店舗の在庫情報をタイムリーに可視化して欠品率の低減を図るとともに、オンラインサイト上での商品提案にも注力し、ネットスーパーの売上を大きく伸ばすことに成功している。
平均客単価は7000円超、生鮮構成比は40%近くも
新型コロナウイルス(コロナ)感染拡大下において、東急ストアが運営する「東急ストアネットスーパー」も大きく成長している。2020年度の売上高は対前年度比約30%増と大きく伸長し、21年度もほぼ同じ水準の売上高で推移している。同社常務執行役員営業本部副本部長兼商品統括室長の大堀友二氏は直近の利用動向について「首都圏で緊急事態宣言が発出された21年度夏には対前年度比3~5%増とさらに伸びた。秋以降は飲食店への営業時間短縮の要請が解除されたことに伴って利用頻度はやや減少しているものの、対19年度比30%増の水準を維持している」と語る。
「東急ストアネットスーパー」は、店舗で商品をピッキングして半径約2キロ圏内に届ける「店舗出荷型」の運営方式で、東急沿線内を中心に24店でサービスを展開している(22年1月時点)。21年11月には「鎌倉店」(神奈川県鎌倉市)、12月には「モレラ東戸塚店」(神奈川県横浜市)も新たに出荷拠点店舗として、対象エリアを東急沿線外にも広げた。22年度にはさらに15店が出荷拠点店舗に加わる計画だ。
好調の要因の1つは、客単価の増加だ。22年1月時点での平均客単価は7200~7300円で、19年度に比べて500円程度増加した。平均買い上げ点数は約1点増え、1品単価も7~8%増加している。
購入の内訳については、一般的なネットスーパーでは生鮮食品の売上構成比が30%程度にとどまるなか、東急ストアでは37~38%と高い。大堀氏はその理由について「SMの主力となる生鮮食品とデリカをきちんと届けることを使命とし、品揃えや鮮度を強化してきた。店舗でそれらの商品を購入し品質のよさを実感したお客さまが、ネットスーパーでも買い求めているようだ」と説明する。
さらに中高年層の利用者が多いのも特徴だ。
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