お客の大半は外国人! 京都・烏丸、夜にだけ行列ができる飲食店の謎
壁には「ハラール認定証」が
関心を持った私は「実際に食べてみたい」と思い、Ayam-Ya烏丸店にやってきた。ただ並びたくないため、空いている昼時に足を運んだ。

早速、店内へ。入口すぐ左手にある券売機の前に立ち、定番の「醤油 鶏そば」(1080円)と「唐揚げ」(640円)のチケットを購入する。
案内された席に座り、料理が来るのを待つ。お客は私のほか、カウンターに1名、さらにその奥のテーブル席に数組が座っていた。いずれも外国人である。
壁には「ハラール認定証」が掲げられている。自主的に豚を使わない努力をするだけでなく、外部機関によって認証されているのは、利用者にとっては安心だろう。

約5分後、私の前に注文品が置かれた。白っぽい鉢に対し、ややオレンジがかったスープ、緑のネギ、トッピングとして乗せてある赤い糸唐辛子の対比がおもしろく、食欲を刺激する。チャーシューはチキンのようだ。

まずはスープ。れんげに少量をとって口へ運ぶ。意外にあっさりしているが、ニンニクの香りがよいアクセントになっている。続けて麺である。表面積が広い平打ち麺なので、スープがからみ、とてもおいしい。続けて、唐揚げも食べたが、こちらもうまかった。


店を出る時、外国人の女性スタッフに質問すると、利用客はインドネシア、シンガポール、マレーシアからの観光客が多いとのことだった。興味深く感じたのは礼拝室を設けている点。向かいの建物の3階にあったが、ムスリムにとっては不可欠な施設のようだ。
では夜に行列ができる一方、昼は空いているのはなぜだろうか。これについては「明るい時間帯は、京都各地の観光地に出かけているからだと思う」と女性スタッフは教えてくれた。なるほど、これですべての謎が解けた。

京都でもムスリム需要は年々、拡大する傾向にある。市場を細分化、標的市場を定めた上で、自らの市場ポジションを決める。Ayam-Yaは、そうしたマーケティングの手法をまさに実践しているわけだ。
標的市場をねらっているとはいえ、基本、鶏白湯ラーメンなので、日本人にとってもおいしい。興味がある人は行ってみるとよいだろう。
森本守人の 京都、これ知ったはります? の新着記事
-
2025/07/11
あの有名チェーンより古い!京都・三条大橋にある元祖ぎょうざの店「珉珉」 -
2025/06/20
「駅伝発祥の地」京都・三条大橋、老舗食堂の看板メニュー「皿盛」とはどんな料理なのか -
2025/06/18
京都・四条烏丸で人気! 老舗喫茶店「高木珈琲本店」で楽しむモーニング -
2025/06/06
観光客はまだ知らない! 京都・四条大宮の老舗中華そば店の意外な名物メニュー -
2025/05/08
愛媛県南部の城下町で楽しむ、海の幸あふれる郷土料理「宇和島鯛めし」の魅力 -
2025/05/05
京都・寺町、明治時代創業の老舗飲食店で味わう人気メニュー「田舎そば」
この連載の一覧はこちら [46記事]





前の記事



原信の新パイロット店、富山の呉羽店の売場づくりを徹底解説