「駅伝発祥の地」京都・三条大橋、老舗食堂の看板メニュー「皿盛」とはどんな料理なのか

2025/06/20 05:00
森本 守人 (サテライトスコープ代表)
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襷(たすき)をつなぎ、チームで長距離を走る駅伝競走。毎年、正月に開催される「箱根駅伝」、秋の「全日本大学駅伝」などが有名だが、この競技の発祥地は京都であることを知っている人はどれほどいるだろうか。今回は、現地を訪ね、周辺の見どころを紹介した後、老舗食堂で食事をするという話だ。

今回、食べるのは「皿盛」

待ち合わせにも使われる「高山彦九郎」像

 毎年、正月になるとテレビ中継されるのが「箱根駅伝」である。往路、復路とも起伏の激しいコースが多く、優勝校はもちろん、熱い走りを見せた選手への注目度も高い大会だ。また「全日本大学駅伝」「出雲駅伝」も有名で、これらは大学三大駅伝といわれる。

 駅伝は日本生まれで、海外でも「EKIDEN」の表記が使われることもある。フランスでは「パリ駅伝」「ストラスブール駅伝」、またベルギーやオーストラリアで各種大会が開催されている。柔道と同様、日本発の競技が世界で行われているのは喜ばしいことだ。

 世界中で激闘が繰り広げられている駅伝だが、その発祥地は京都であるのをご存知だろうか。場所は「三条大橋」の東詰北側で、それを示すのが「駅伝発祥の地」という石碑。「日本初の駅伝は1917年(大正6年)、京都三条大橋から東京上野不忍池までを23区間にわけて開催された」と記されている。京都で開かれる「全国高校駅伝」のスタート地点でもある。

「三条大橋」の東詰北側にある石碑「駅伝発祥の地」

 それにしても100年以上前、京都から東京までの508kmを駆け抜けたと想像するだけで、当時の人々の熱意と、途方もない挑戦に胸が熱くなる。駅伝の歴史を紹介したついでに、近くにある観光スポットにも触れておく。

 鴨川には連日、多くの人が集まっており、とくにカップルが川べりに同じぐらいの距離を空けて座る現象が見られる。「鴨川等間隔の法則」ともいわれ、京都の名物となっている。

週末になると鴨川にはカップルが等間隔で座る光景が見られる

 三条大橋の東側には、江戸時代後期の武士、尊皇思想家である高山彦九郎の像が置かれている。北西の方向に向かって頭を下げているのが特徴だ。像の横にある解説文には「十八歳の時以来、前後五回、上洛したが、京都に出入りする折には、この銅像の姿のように、京都御所に向かって拝礼した」と書かれている。インパクトの強いこの像は、待ち合わせの場所になることも多い。いかに地元で親しまれているかをうかがい知ることができるだろう。

江戸時代後期の武士、尊皇思想家である高山彦九郎の像。待ち合わせ場所としても使われる

 あちこち紹介したところで今回の行き先を発表する。それは「篠田屋」である。今、見た高山彦九郎像は三条通の南側に置かれているが、その斜め向かいにある。私が足を運んだのは午前1150分で、すでに複数の人が並んでいた。

創業明治37年(1904年)の食堂「篠田屋」

 列の最後に並び、順番が回ってくるのを待つことにする。意外に待ち時間も短そうで、入店への期待感が膨らんだ。

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記事執筆者

森本 守人 / サテライトスコープ代表

 京都市出身。大手食品メーカーの営業マンとして社会人デビューを果たした後、パン職人、ミュージシャン、会社役員などを経てフリーの文筆家となる。「競争力を生む戦略、組織」をテーマに、流通、製造など、おもにビジネス分野を取材。文筆業以外では政府公認カメラマンとしてゴルバチョフ氏を撮影する。サテライトスコープ代表。「当コーナーは、京都の魅力を体験型レポートで発信します」。

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