『チェーンストアエイジ』誌2011年9月15日号では、エブリイを特集します

千田 直哉 (株式会社ダイヤモンド・リテイルメディア編集局 局長)
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 エブリイ(広島県/岡﨑雅廣社長)という食品スーパー(SM)企業がある。

 帝国データバンク(東京都/後藤信夫社長)が売上高200億円以上の未上場スーパー129社を対象に実施した調査において、2009年度の売上高伸び率が27.3%増と2番目に高かった優良株である。

 創業は1989年と新しく、現在は直営店舗を18店展開し、294億円を売り上げる。売上高販売管理費率18%、粗利益率22%、営業利益率4%――。

 転機となったのは96年のこと。初代の澤田嘉康社長が急逝したためだ。

 赤字続きだったエブリイは、グループ企業のヨシケイ福山(広島県/住吉正光社長)から約8億円を調達することで、既存3店舗の閉鎖を画策していた。

 バトンタッチされた岡﨑社長はSM経営ということでは素人。考えを重ねた結果、既存3店舗が繁盛店だったことを根拠に継続を決断する。

 やがて市場などに「エブリイ倒産」の噂が流れ始めると、職人気質の扱いづらかった人たちを中心に、多くの従業員がエブリイを去った。

 人間万事塞翁が馬。ところが、このことで人件費が一気に下がり、資金繰りが好転する。

 そこで、コンサルタントを招聘し普通のSMづくりに努めた。

 しかし10年後の競争を考えると普通のSMでは勝負にならない――。

 そんな考えから、「流通の教科書」を捨て、個店主義に舵を切る。生鮮食品を店別に仕入れさせ、仕入れた者がその日のうちに売り切るという形にした。このことで、農産、水産を中心に鮮度と価格で競争力を持ち、多くの消費者から信頼されるに至った。

 さらに、01年には、神戸物産(兵庫県/沼田昭二社長)がフランチャイザーである「業務スーパー」とフランチャイズ契約を結び、加工食品や日配商品の低価格訴求も開始。現在は、広島県、岡山県、島根県、鳥取県でのエリアフランチャイジーである。

 岡﨑社長は、「企業はその時の状況に応じて、戦略を選ばなければいけない」と言い、大手と同じ土俵に上がらないことで、自社にオリジナリティをどんどん付加していった。

 そして現在、エブリイは、新しいステージに向かっている。

 阪食(大阪府/千野和利社長)、ハローデイ(福岡県/加治敬通社長)、サンシャインチェーン本部(高知県/川崎博道社長)という高質SM3社が定期開催していた勉強会に名を連ね、新しいプレゼンテーションや商品、売り方を学んでいる。

 6月11日には、新業態2店舗目となるTientエブリイ茶屋町店(岡山県)を開業。快進撃は、まだまだ続きそうだ。

 ※『チェーンストアエイジ』誌2011年9月15日号では、エブリイを特集します。お楽しみに。

記事執筆者

千田 直哉 / 株式会社ダイヤモンド・リテイルメディア 編集局 局長

東京都生まれ。1992年ダイヤモンド・フリードマン社(現:ダイヤモンド・リテイルメディア)入社。『チェーンストアエイジ』誌編集記者、『ゼネラルマーチャンダイザー』誌副編集長、『ダイヤモンド ホームセンター』誌編集長を経て、2008年、『チェーンストアエイジ』誌編集長就任。2015年、『ダイヤモンド・ドラッグストア』誌編集長(兼任)就任。2016年、編集局局長就任(現任)。現在に至る。
※2015年4月、『チェーンストアエイジ』誌は『ダイヤモンド・チェーンストア』誌に誌名を変更。

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