メニュー

小売業の2022年回顧録 下半期(7~12月)

2022年も残すところわずかとなった。あらためて今年1年間を思い返してみると、とおい昔のようであった数々の出来事が、実は2022年であったことに気づかされる。上半期(1~6月)に続き、再編、値上げなどが続いた2022年7月以降の出来事について振り返っていきたい。

イオンリテールが8月にオープンした「@FROZEN」。今後も注目の新業態だ。

7月の出来事

2日KDDIで大規模な通信障害が発生、復旧まで86時間を要する事態となり通信システムなど社会インフラに深刻な影響を及ぼす。8日、奈良県で参院選の応援演説をしていた安倍晋三元首相が背後から銃撃されるという事件が発生、心肺停止のまま病院に運ばれるものの、午後5時、死亡が確認された。67歳だった。

7月の小売業の主な出来事

イオンがハローズの株式を取得、ロピアがスーパーバリューを子会社、ウエルシアが沖縄のドラッグストアを子会社化するなど、再編に向けた動きが活発な7月であった。ローソンの中国における店舗数が5000を超えるなどのニュースにも注目が集まる。

食品「値上げの夏」、7~8月で4000品目超 年内累計2万品目超の見通し

イオン、ハローズの株式8.51%を取得 マックスバリュ西日本とオリックスから

ロピアHD、スーパーバリューを子会社化 第三者割当増資を引き受け

ベイシア、パート社員の雇用期間を75歳まで延長

ウエルシアHD、ドラッグストアの「ふく薬品」を子会社化 沖縄に初進出

イオンリテール、AIで勤務シフト作成 業務連絡用の電子看板も導入

セブンイレブンとANA、ドローンで離島に配送 25年度の実現目指す

ローソン、中国の店舗数が5000店を突破 10カ月で1000店舗増

成城石井、総菜の製造拠点を稼働 デザート品目は2倍に

8月の出来事

3日から4日かけ東北・北陸地方で記録的な大雨が発生。一部地域では「線状降水帯」が発生、山形県を流れる最上川など17河川が氾濫、一時54万人が避難対象となった。4日には台湾周辺の海域で中国が軍事演習、弾道ミサイル5発が日本のEEZ内に落下する事態に。24日には京セラの稲盛和夫名誉会長が死去。90歳だった。京セラとKDDIを創業し、経営破綻した日本航空の再建にも尽力。

8月の小売業の主な出来事

イオンリテールの@FROZENオープンのニュースに注目が集まる。近年は技術革新の影響もあり冷凍食品市場が食卓の脇役から主役に。専門業態も登場し、多くの業界関係者が注目していることがうかがえる。セブンプレミアムも発売から15周年。近年では多くの企業がプライベートブランドの開発に力を入れている。

甲府市中心街の「岡島百貨店」が移転、店舗面積を4500㎡に縮小 跡地にはタワマン

PPIH、25年6月期に営業利益1200億円 PB拡販で利益率高める

セブン&アイ、「セブンプレミアム」発売から15年 累計販売金額13兆円超に

カインズ、無人店舗「CAINZ Mobile Store」で実証実験

即配サービス「Yahoo!マート」、宅配拠点で商品販売 年内に店内調理も

ヨーカドーネットスーパーの商品、セブンイレブンで受け取り 都内で実証実験

コモディイイダ、「楽天全国スーパー」に出店 23年春からサービス開始

ローソン、聴覚障害者の買物支援で「指差しシート」 レジカウンターに貼付

イオンリテール、冷凍食品専門の新業態「@FROZEN」 千葉・浦安に出店

9月の出来事

多くの参列者が集まった安倍晋三元首相の国葬会場=27日午後、東京都千代田区の日本武道館[代表撮影]

18日、大型の台風14号が日本列島を縦断、九州から関東の広い地域に甚大な被害をもたらす。24日にも台風15号が日本列島に接近、静岡県を中心に大きな被害をもたらした。23日には西九州新幹線が開業、沿線各地で記念式典が催される。27日、安倍晋三元首相の国葬が東京都千代田区の日本武道館で執り行われ、国内外から4183人が参列。29日には中国との国交正常化から50年の節目となり、日中が共同声明を発表した。

9月の小売業の主な出来事

イオン九州とウエルシアHDの合弁会社が発足。食品スーパーとドラッグストアが融合した業態は、今後も注目を集めそうだ。ホームセンターのアークランドサカモトがビバホームを合併するとともに「アークランズ」に社名を変更、サンドラッグやイオンリテールがローカルドラッグストア・スーパーを統合するなど、再編の動きが活発な9月であった。

イオン九州とウエルシアHDが合弁会社、健康を軸に新業態を開発・運営

サンドラッグ、四国の大屋を買収 ドラッグストア50店舗超を展開

イオンリテール、新潟の清水商事を吸収合併 食品スーパー15店舗運営

U.S.M.H、米植物肉の「ビヨンドミート」を独占販売 外販も視野

ヨークベニマル、食品・日用品約600品目を値下げ 12月末まで

アークランドサカモト、「アークランズ」として新たなスタート

ローソン子会社の成城石井、東京証券取引所に株式上場を申請

串カツ田中、大豆を使った代替肉の串カツ販売 ネクストミーツが原材料供給

「東京ミッドタウン八重洲」、全面開業は来年3月10日 商業ゾーンに57店舗

ダイソー、インドに初出店 北部チャンディーガルに

ローソン、アバターで非接触接客 25年度中にオペレーター1000人育成

西友、大森店の植物工場を2倍に拡大 首都圏132店舗で販売可能に

1次リーグ・ドイツ-日本。ドイツに勝利し、喜ぶ日本の選手たち=11月23日、カタール・ドーハ 時事通信社

10月の出来事

北朝鮮が異例の頻度で弾道ミサイルを発射、4日には青森県上空を通過し太平洋上に落下。政府はJアラート「国民保護に関する情報」を発出する事態に。11日には新型コロナウイルスの水際対策が大幅に緩和され、入国者数の上限を撤廃、個人の外国人旅行客の入国も解禁した。また、「全国旅行支援」が東京都を除いた全国46道府県で始まる。観光需要の喚起策として期待が高まる。29日にはソウルの繁華街「梨泰院」で153人が死亡する事故が発生。邦人2名の死亡が確認された。

10月の小売業の主な出来事

オーケーがいよいよ関西進出か、といったニュースに多くの注目が集まった。24年とまだ先の情報ではあるが、関西地方を中心に業界全体が注目している。ハンズの新ロゴ発表は業界関係者のみならず多くのメディアで取り上げられ、大きなニュースとなった。

クスリのアオキHD、金沢の三崎ストアーから食品スーパー事業を買収

マックスバリュ西日本、初の再エネ100%店舗 香川県にオープン

オーケー、24年に関西進出 東大阪市で店舗用地取得

セブンイレブン、災害対策システム「セブンVIEW」機能拡張 断水・浸水の把握・予測を実証実験

平和堂、男性用トイレにサニタリーボックス設置 10月中に順次

オークワ、商業施設内に高質スーパー「メッサオークワ岩出店」

ハンズ、46年ぶり新ロゴ=漢字の「手」モチーフ

トライアルカンパニー、「24時間顔認証決済」の一般客向け実証実験を開始

神戸物産、「業務スーパー」が1000店舗到達 1号店出店から22年

11月の出来事

そごう・西武の売却がついに正式決定 11月

3日、北朝鮮が計6発の弾道ミサイルを日本海に向け発射、政府は宮城、山形、新潟の3県にJアラートを発出。18日、10月の全国消費者物価指数が発表され、生鮮食品を除く総合指数が前年同月比3.6%上昇、40年8カ月ぶりの高い伸び率を記録。21日にはワールドカップ・カタール大会が開幕、日本は初戦で優勝経験のあるドイツを破る金星、その後のコスタリカには敗北したものの強豪スペインにも勝利し、2勝1敗でグループリーグを首位で突破。

11月の小売業の主な出来事

セブン&アイがそごう・西武の売却を発表するなど、2022年では一番の再編に関するニュースとなった。池袋エリアは東急ハンズ跡地にニトリが進出するなど、新たな動きが活発化している。池袋駅の西武がどのように変化もふくめ、2023年も注目されるエリアとなりそうだ。

高島屋とH2Oが資本提携を解消、商品共同開発などの業務提携は継続

神戸物産、「業務スーパー」のオンラインショップを開設 PB中心に1500点

良品計画、食品スーパー隣接の「無印良品 ツルヤ安曇野穂高店」 長野で最大規模

セブン&アイ、そごう・西武の売却を正式発表 投資会社の米フォートレスに

ニトリ、東京・池袋に1810坪の旗艦店 東急ハンズ閉店跡に

バイト時給、10月は3.0%増の1151円 3カ月連続で過去最高額

サツドラ、札幌大学の敷地内に出店 POSデータを授業用に提供

ベイシア、次世代フォーマット「フーズパーク」1号店 栃木・大田原市に出店

モスフード、「超一等地」向け新業態=5年で100店舗目指す

フジ、高知県で初めての移動スーパー 5県39拠点に拡大

12月の出来事

12日、2022年の今年の漢字に「戦」が選ばれた。ロシアによるウクライナ侵攻や、物価高との戦いが選出の理由。「戦」が選ばれるのはアメリカの同時多発テロ事件が発生した2001年以来2度目。21日にはワールドカップカタール大会決勝が行われ、アルゼンチンがフランスを下し、36年ぶり3度目の優勝を飾る。

12月の小売業の主な出来事

山梨県甲府市にロピアが初進出、成城石井の上場取り下げなどに多くの注目が集まる。ロピアが近隣に出店すると否が応でも周辺の食品スーパーは対応せざるを得ず、業界関係者の注目度は高いようだ。2023年も引き続き、ロピアの動向は注目したい。

「ドンキ×ユニー」のダブルネーム店舗が60店超え、23年春夏に3店舗予定

ローソン、期限切れ商品を宅配ボックスで値引き販売 都内店舗で実証実験

成城石井、東証への上場申請を取り下げ 市場動向などから総合的に判断

H2Oと万代が合弁会社、輸入食品を共同調達 包括業務提携の一環

ディスカウントストア市場、22年は初の4兆円へ 店舗は15年で3倍

イオン九州、バナナの量り売りで食品ロス削減 「イオン福岡店」で

甲府駅前の「ヨドバシ甲府」に食品スーパー「ロピア」が出店、山梨県初進出

 

以上、2022年の回顧録とし、本年の記録とするとともに、本年の動向が2023年以降の流通業界にどのようにつながっていくのかなどを注視するための材料となれば幸いである。

 

上半期の回顧録へ