8月の貿易赤字、9305億円=対中食料品輸出4割減―水産物禁輸が影響・財務省
財務省が20日発表した8月の貿易統計速報(通関ベース)によると、輸出額から輸入額を差し引いた貿易収支は9305億円の赤字となった。貿易赤字は2カ月連続。中国向けの輸出では食料品が前年同月比41.2%減の142億円となった。東京電力福島第1原発の処理水放出に反発している中国が8月24日から、日本産水産物の全面禁輸措置を講じた影響が出始めたとみられる。
貿易収支全体では、資源価格高騰が一服し輸入額が減少する一方、輸出額は自動車が4割増え、赤字幅は前年同月の2兆7904億円から大幅に縮小した。
輸出額は、0.8%減の7兆9943億円。比較可能な1979年以降で、8月としては昨年に次いで過去2番目に高い水準だった。輸入額は17.8%減の8兆9248億円で、石炭や液化天然ガス(LNG)などの輸入額が減少したことが響いた。
国別の貿易収支は、対米国が6506億円の黒字。ハイブリッド車を中心に自動車の輸出が5割増加したことが寄与した。対中国は4931億円の赤字だった。鉄鋼や鉱物性燃料の輸出減も響き、輸出額が9カ月連続で前年同月を下回った。4割減となった食料品の内訳は、28日に公表される予定。中国への水産物輸出では従来、ホタテ貝の占める割合が高い。